国内初実証!導水路の管内を蝕むカワヒバリガイを近紫外光で除去?:i-Construction推進コンソーシアム「技術開発・導入WG」(中)(3/3 ページ)
国土交通関東地方整備局が管轄する事業所の管理施設では、害虫による被害や含水土への対応といった問題に悩まされている。民間企業ではこういった状況を踏まえ、解決策として、近紫外光やコジェネを活用した乾燥システムなどの開発を進めている。
岩石や流木も想定して設計されたコンパクト土質分別脱水装置
二瀬ダム管理所 施設管理課 管理係長の長束篤氏は、ダムに堆積した土砂の脱水処理を行える省スペース対応のシステムと施工方法を求めていることを明かした。
背景には二瀬ダムの堆砂率が90%以上に達していることがある。死水域付近でも堆砂が進んでおり、ヘドロ状に土砂が堆積している状況。死水域付近は常時水があり、通常の施工方法である陸上掘削ができないといった問題が発生している。
土砂の掘削は、グラブ浚渫(しゅんせつ)船で行えるが、ダム周辺が狭いため、スペースの確保が難しい。貯水池内は、台風や大雨といった自然災害に起因する出水の影響で水位変動が激しく、機器の設置は危険を伴うという。
長束氏は、「こういった課題を考慮したシステムを望んでいる。現場試行の実施場所は、ダム貯水池、死水域周辺で、浚渫船による施工を想定している。時期は2019年9月初旬から12月末。8月末に工事制限水位を設けるが台風などで水位が急上昇する恐れがある」と解説した。
日本農林資源開発の中村氏は再び、檀上に上がり、このニーズに向け「混合エア・ジェット・ポンプ専用コンパクト土質分別脱水装置」を訴求した。
この装置は、優れた脱水力と比重分離しながらの搬送を実現しているため、土質分離効率の高い運用を可能としている。鉱物分粒機「トロンメル」と高強力ポリエステル繊維を素材としたジオテキスタイル「ハイメッシュ」を混合した構造だという。礫質土や砂質土、シルト、粘性土、岩石、流木片を処理できる設計を目標としている。
中村氏は、「この装置は、浚渫と共に土砂を運ぶ混合エア・ジェット・ポンプ方式を採用しており、大量の水のくみ上げと同時に、土質分離をしながら脱水が行える。省スペースで高効率の運用も可能だ。一方で、課題として、混合エア・ジェット・ポンプで土砂を吸い上げた際に、シルトや粘性土も流入してしまうため、処理効率の低い沈殿フィルターでは対応できず、濁水となりダム内の貯水地に戻せない可能性がある。こういった部分の機能拡張が必要だ。先ほど紹介した掘削土砂多段乾燥コジェネ・システムと併用することで、浚渫で生じた建設土を再生土として活用できる。現場試行では、開発中のこの装置の能力などを検証していく」と語った。
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