深層学習と赤色立体地図を使用したシステムで、LPデータの地形判読を伴うフィルタリング作業を自動化:i-Construction推進コンソーシアム「技術開発・導入WG」(上)(1/3 ページ)
国土交通省関東地方整備局は、i-Construction推進の一環として、管轄する事務所の現場が抱える課題を解決する最新のソリューションの導入を押し進めている。
国土交通省関東地方整備局(関東地整)は2019年7月9日、さいたま新都心合同庁舎2号館で、2019年度第1回マッチングイベント「i-Construction推進コンソーシアム『技術開発・導入WG』」を開催した。同イベントは、IoT、ロボット、AIといった最新テクノロジーを関東地整が管轄する事務所の現場に先頭に立って取り入れ、生産性を向上することを目的としている。
地形情報の構築費用の6割がグラウンドデータ作成コスト
冒頭、国土交通省 関東地整 局長の石原康弘氏は、「関東地整主催のマッチングイベントは今回で2回目だ。2018年に実施した前回は16技術がマッチングした。実際に効果を発揮するかを早急に検証することが当局の課題。最終的な目標は、新しいテクノロジーを現場に導入し、生産性を高めていくことだと考えている」とあいさつした。
関東地整 企画部 施工企画課 課長補佐の宮本雄一氏は、マッチングイベントについて説明。まず、関東地整が管轄する各事業所の現場のニーズに対して、民間企業がシーズのプレゼンを行う。全プログラム終了後、それぞれ個別に話し合いをし、ニーズに適合するかを判断。マッチングが成立した場合、2019年8月に現場試行し検証する。従来品と同等以上の効果なら国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS」に登録し、改良が必要なら実装に向け支援するという。
宮本氏が降壇後、関東技術事務所 技術課 課長の高橋明男氏が講演。高橋氏は関東技術事務所が、レーザープロファイラー(LP)調査で取得した画像からグラウンドデータを作る際に要するフィルタリング処理を効率化するソリューションを求めていることを明かした。
フィルタリング処理はLPで得られた画像内の樹木、構造物、ノイズといった被覆物を除去する作業。国土交通省 中部地方整備局の参考見積資料によれば、航空レーザー測量では、フィルタリング処理を含むグラウンドデータの製作費用が、現場作業を除く地形情報構築コストの6割を占めている。
高橋氏は、「AI技術でフィルタリング処理を高効率で行え、地理条件などの違いで生じる不要な点群データの発生傾向、頻度を整理・分析し、フィルタリング作業を自動化できるソリューションを求めている。グラウンドデータを作成する費用と時間を大幅削減できることを期待している」と話す。現場試行はLP調査結果を2019年11月に提供し、マッチングした企業が実施することを予定している。
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