ICTを生かした建設、「i-Construction」の第1号工事が開始:情報化施工
国土交通省では、建設作業の生産性向上のためにICT(情報通信技術)を取り入れた建設「i-Construction」を推進。その第1号工事がいよいよスタートした。
国土交通省では、2016年度を「生産性革命元年」と位置付けており、建設作業に必要な調査・測量、設計、施工、検査および維持管理・更新のあらゆるプロセスにICT(情報通信技術)を取り入れる「i-Construction」を推進している。
具体的には、ドローンを活用した3次元測量、3次元データを生かした設計・施工計画、これらのデータを活用したICT建設機械などによる施工、同データを活用した維持・管理など、3次元データを基盤とした効率的な建設工程を実現することを目指している(図1)。
北海道と北陸で第1号工事が始動
国土交通省がこれらを推進する中で、ICT土木の第1号となる工事が始動した。第1号となったのは、北海道開発局の「道央圏連絡道路千歳市泉郷改良工事」と、北陸地方整備局の「宮古弱小堤防対策工事」である。
それぞれの工事でUAV(ドローン)による施工前の測量が行われ、この測量結果や設計の3次元データを用いてICT建機による土工を行っているという。「道央圏連絡道路千歳市泉郷改良工事」では、2016年5月10日からUAVによる施工前の測量が行われ、同年6月3日からICT建機による土工が開始されている。「宮古弱小堤防対策工事」では、同年5月23日からUAVによる施工前の測量が行われ、同年6月1日からICT建機による土工を開始している(図2)。
ICTの導入により、現場からは「UAV使用により起工測量の日数が約1週間から1日に短縮できた」「ICT建機の活用で経験の浅いオペレーターでも精度よく施工ができる」「埋設物がある場合でもモニターに表示され、安心して施工できる」などの声が出ていると国土交通省では紹介している。
国土交通省では今後もさらにICT活用の土木工事を増やしていく方針。2016年6月10日時点で全国で109件のICT土工の工事公告が行われている他、2016年度内に約410件のICT土工の工事公告が行われる見込み。さらに、ICTに対応できる技術者・技能労働者の育成を目的に全ての都道府県で合計200カ所の講習・実習を実施するとしている。
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