厚さの異なる6枚のカセットに対応
音響実験施設は、無響室と残響室で構成。残響室は、2つの実験室から成り、その間に設けられた開口部に、建築部材などの試験体を設置することで、遮音性能を測定する。部屋の形状も近年、主流となっている国際基準ISO(ISO 140)に準拠した直方体の形状に変更。実際の部屋に近い形状となったことで、現実的な評価結果が得られること、また単純な形状であることから、実験結果を理論的に解析することが容易となるという。
更新に伴い試験体カセットと自動搬送クレーン(最大積載荷重9トン)も導入した。あらかじめ別の場所でカセットに試験体を設置し、クレーンで開口部に挿入することで実験が行える。カセットの厚さは、試験体のサイズに合わせて3種類、計6枚で、厚さの異なる6枚のカセットに応じる装置は日本初としている。試験体の入れ替えに、その都度の施工が不要となるため、複数の試験体の比較検討を短時間で効率よく実施可能になった。
今後は、より高性能な遮音構造の開発を行い、残響室の躯体を活用して床衝撃音や振動が建物の躯体を伝搬させ、室内に騒音として現れる固体伝搬音もテストし、躯体の振動およびそれに伴う音圧などに関した数値シミュレーションに基づく予測手法の確立を目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 大林組が「建設業の働き方の未来」のために選んだストレージサービス
BUILTに掲載した特集記事を、印刷しても読みやすいPDF形式の「電子ブックレット」に編集しました。会員の皆さまに無料でダウンロードしていただけます。今回紹介するのは、ITを活用した生産性向上が急務となっている建設業界で、働き方改革の実現に向けて大林組が選んだストレージサービスの内容について紹介します。 - 横浜MM21「53街区」の再開発で大林組らを選定、1100億を投資して18万m2の「WEST/EAST棟」を2023年に開業
横浜市の「みなとみらい21中央地区53街区」を対象にした開発事業者公募で、大林組、京浜急行電鉄、新日鉄興和不動産、ヤマハの4社で構成する企業グループが事業予定者に選定された。大林組らは、1100億円を投じて、総延べ18万平方メートルのWEST/EAST棟で構成する大規模複合ビルを建設する。着工は2020年12月、完成は2023年11月の予定。 - 大林組がアシストスーツ「パワード・クロージング」を開発した米・Seismic社に出資
大林組は、次世代建設プロセスの構築として同社が掲げる「Obayashi Construction 4.0」の一環として、アシストスーツ「パワード・クロージング(Powered Clothing)」を開発した米国のベンチャー企業「Seismic Holdings」へ出資することを発表した。 - 大林組が開発した地盤改良土の「固化材含有量計測システム」、3分で土の強度を確認
大林組と立花マテリアルは、地盤改良土に含まれる固化材の量を建設現場で計測する新システムを開発した。計測時間3分ほどで、土の強度を把握できるため、手戻りの無い施工が実現する。 - 大林組が耐火被覆吹付けロボットを開発、BIMモデルで作業指示し長時間施工も自動化
大林組は、吹付け作業を自動で行う耐火被覆吹付けロボットを開発し、2020年度に建築現場への適用を目指す。従来工法では、吹付け・コテ押さえ・材料投入のそれぞれの建設技能者3人を1班として作業を行っていたが、ロボットを導入することで、吹付けを担当する建設技能者1人を削減でき、省人化につながる。