竹中工務店は、鉄筋コンクリート造建物の梁(はり)・スラブコンクリ−ト打設工事で約20%の省人化を実現する「コンクリート打ち分けフリービーム工法」を開発した。同工法を高層建物のプロジェクトに初適用した他、日本ERIの建築物構造評価も取得している。
RC構造の躯体(梁)とスラブ(床版)を効率的に構築
コンクリート打ち分けフリービーム工法は、RC構造の建物の躯体(梁)とスラブ(床版)を効率的に構築する工法。従来の設計法では、RC梁のコンクリート強度を全断面で同一にするため、梁とスラブを異なる強度のコンクリートで打ち分ける必要があった。
通常は、スラブよりも梁部分に、高い強度のコンクリートを使用することから、コンクリートの打ち分けを行うには、止め型枠の施工など、作業手間がかかり工期も長くなるという課題が生じていた。
今回開発した新工法は、梁の断面上部をスラブと同一の強度のコンクリートとして設計するもので、コンクリートの同時打設によって、従来の打ち分けにかかわる作業⼿間が削減され、躯体コンクリートの施工品質を確保しながら生産性向上に貢献する。
初適用したプロジェクトの梁・スラブコンクリートの打設工事では、従来工法と比較して約20%の省人化を実現したという。
また、構造性能確認実験では、その結果に基づき梁の断面上部を、スラブと同一の強度のコンクリートとする設計法を確立。さらに、この実験結果をもとにして、RC梁の鉄筋とコンクリートが一体で変形するために必要な性能を算定する付着強度式で、スラブの効果を見込んだ独自の設計手法を考案し、合理的なRC梁の設計が可能となった。
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