技能実習生に建設キャリアアップシステムの登録を義務化、国土交通省:建設キャリアアップシステム
国土交通省は、外国人実習生の失踪が増加していることを受け、これを防ぐ目的で、建設企業が技能実習生を受け入れ時に、建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録することを義務化する。
国土交通省は、建設企業が技能実習生を受け入れる際に、受け入れ人数の設定と、建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録を義務化する告示を2019年7月5日に制定・公布した。2020年1月から施行する。
建設分野は外国人技能実習生の失踪者数が最多
背景には、建設分野の外国人技能実習生の失踪者数が、他のカテゴリーと比較して最多で、実効性ある対策が急務とされたことがある。失踪につながる要因は、季節によって受注量が激しく変動することに伴う安定しない賃金と、工事ごとに働く現場が変わるため就労管理が難しいといった2つの問題が根底にある。
また、2019年4月に改正した入管法で、特定技能を含む新たな在留資格の運用が開始されたことを受け、技能実習制度・外国人建設就労者の受け入れ事業でも新制度との整合性を図りながら、適切な利用が求められたことも今回の制度整備を促した。
建設分野の技能実習計画の認定に当たっては、新たに技能実習生の受け入れ体制や待遇、人数といった基準を設け、外国人技能実習機構でこれらを審査する。このうち、受け入れ体制の基準は、申請者が建設業法第3条の許可を受けていることやCCUSを申請者と技能実習生も登録することとなっている。待遇に関しては、技能実習生に対し、報酬を安定的に支払うことが定められている。両基準は2020年1月1日から施行する。
一方で技能実習生の受け入れ人数は、優良な実習実施者・管理団体を除き、技能実習生の数を常勤職員の総数以下とすることを原則とし、2022年4月1日から運用を開始する。
なお、これらの基準は、施行日以降の新規に受け入れられる外国人実習生を対象にしており、既存の実習生は経過措置で適用外となる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 現場で“EC決済”や“安全教育”が可能なDSシステム、入退場管理デバイスとして「建設キャリアアップシステム」と連携
飛島建設グループおよびWill Smartの2社で開発したデジタルサイネージシステム「e-Stand」は、機能拡充を目的に、MCデータプラスとパートナープログラム契約を締結し、現場への入退場管理システム「グリーンサイト」のデバイスとして利用可能となった。既に一部の現場で試験的に運用が始まっており、導入現場を拡大していくという。 - 「建設キャリアアップシステム」の推進、竹中工務店が2019年中に全作業所で就業履歴登録
竹中工務店が、施工情報を協力会社と共有するために活用している施工情報共有システム「WIZDOM」が建設キャリアアップシステムとデータ連携する認定を取得した。これにより、全作業所で技能者の就業履歴がICカードで登録できる環境を2019年中に構築するという。 - 鹿島が450現場で運用開始した入退場管理システム、技能者の過不足まで“見える化”
鹿島は、建設キャリアアップシステム(CCUS)と連携させる入退場管理システムの運用を開始した。独自に開発した「EasyPass」というシステムで、全国の土木・建築に関わる約450の現場で従業員の入退場時間を管理する。労務実績が見える化され、現場だけでなく、事業所で技能者の過不足がリアルタイムで把握できるなど、さまざまな管理方法に転用することが見込める。 - 鹿島、「管理の半分を遠隔で」を実現する施工管理支援サービス
鹿島建設は、全ての建築現場に導入している施工管理支援サービス「Buildee」(ビルディー)の機能を活用し、各建設現場の労務稼働状況などを即時に知ることができる体制を実現した。これにより、業務の効率化や建設キャリアアップシステム(CCUS)の普及を進めるとともに、2018年に策定した「鹿島スマート生産ビジョン」のコアコンセプト「管理の半分を遠隔で」の実現に拍車をかけている。