ニュース
建機自動化の現在地とその先に――【前編】:CATの自在な拡張性を持つ次世代スマートショベル:建設・測量生産性向上展2019(5/5 ページ)
キャタピラーと大成建設は、割岩や土砂の掘削・積み込みを自動化する技術開発を進めている。先立つことキャタピラーでは、Next Generation Hexと位置付ける次世代IoTショベルを2017年に発売。同機種の市場投入を機に、これまでの開発方針を転換させて、断続的な機体のフルモデルチェンジから脱し、ガイダンスやアシスト機能などを年次アップデートさせていく、デジタルプラットフォームを構築した。
作業ログをベースにプログラムを組んで施工そのものを自動化
最後に、デジタルプラットフォームがもたらした効果の1つとして、作業内容をプログラム化することで、施工を自動化する可能性が示された。
機体のフル電子制御化によって、稼働履歴や機体の状況がログとして常時保存できるようになった。こうしたログを持ち帰り、エンジニアが解析をかければ、マシン自動化のプログラムを組むことにつなげられる。一例では、大成建設と協力した「自律割岩システム」や自動で土砂を掘削・積み込みをする実証では、いずれも機体の大掛かりな改造無しに試行。自律削岩システムでは、90%以上の精度で小割作業を達成したという。
キャタピラーは、1990年代から自律自動で作動する建機の開発を手掛けてきた草分け的存在。今後について担当者は、「新たな機種だけでなく、既に現場で動いている対応機種にも、さらなる自動化のプログラムを提供していく。油圧ショベルの他、ホイールローダーやブルドーザーなどでも、同じ思想のデジタルプラットフォームを有する次世代型モデルを投入していく」と展望を語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 油圧ショベルを災害時にだけ“遠隔化”、CATが提案する「普段使いの防災建機」実機デモも
キャタピラージャパンは、油圧ショベルを遠隔操作するためのリモートコントロールキットを2019年内に発売する。この建機遠隔システムは、国内の現場で相当数が稼働している同社の主力機「320/323」に“後付け”ができるのが特長だ。災害現場や危険を伴う工事での安全な施工に活躍が期待される。 - 大成建設×キャタピラー、油圧ショベルの自動化施工を実証
大成建設は、キャタピラージャパン製の次世代油圧ショベル「Cat 320」に、独自開発した「自律割岩システム」を実装し、実証実験で割岩の自動化と、有人ダンプトラックとの連携による掘削/積み込みの土工作業を成功させた。 - 日本キャタピラーが“インターネット”営業所、メンテ商品を購入しやすく
建設機械ディーラーの日本キャタピラーは、同社の建設機械ブランド「Cat」の純正部品を販売する「インターネット営業所」をオープンした。建機のメンテナンス商品などを購入しやすくすることで、顧客の利便性向上を図る。 - コベルコと豊橋技科大が連携協定を締結、「クローラクレーン」の自動運転などを共同研究
コベルコ建機と豊橋技科大は、包括連携協定を締結した。両者は、共同研究講座の制度を活用して、コベルコ建機が市場シェアを持つクローラクレーンの自動運転・遠隔運転・運転アシストの社会実装に向け、技術開発に取り組んでいく。