コベルコと豊橋技科大が連携協定を締結、「クローラクレーン」の自動運転などを共同研究:建機自動化
コベルコ建機と豊橋技科大は、包括連携協定を締結した。両者は、共同研究講座の制度を活用して、コベルコ建機が市場シェアを持つクローラクレーンの自動運転・遠隔運転・運転アシストの社会実装に向け、技術開発に取り組んでいく。
コベルコ建機と豊橋技術科学大学は2019年4月、クローラクレーンに関する両者の知識と、経験および人的資源、物的資源を相互に活用した研究の推進、さらに研究成果の社会活用促進や高度な人材育成を目的に、2019年2月5日付で包括連携協定を締結したことを公表した。
その後、同年4月1日には、豊橋技術科学大学に「コベルコ建機次世代クレーン共同研究講座」を開設し、4月23日には共同研究講座の開設式を豊橋技術科学大学で執り行った。
コベルコ建機の次世代クローラクレーン共同研究講座を開設
豊橋技術科学大学は、1976年の開学以来、産学連携拠点の形成を掲げ、2016年度に技術科学イノベーション研究機構を設置するなど、国内外のリーディング企業やトップ研究機関との融合研究を積極的に推進している。一方のコベルコ建機は、油圧式クローラクレーン、ショベルの開発から製造、販売そしてアフターサービスまで行う製販一体の建設機械メーカーで、クローラクレーンについてはグローバルで高いシェアを有している。
両者は兼ねてから技術交流を続けており、高度な学術知識を利用したクローラクレーンの高機能化と、研究シーズの社会実装という相互の目標にむかって、2018年に共同研究をスタートさせている。
このたび、両組織間のさらなる連携強化よるイノベーション創出を目的に、包括連携協定の締結と、コベルコ建機の次世代クローラクレーン共同研究講座を開設した。共同研究講座は、組織対組織の本格的な共同研究の仕組みとして他大学でも既に導入されている制度で、豊橋技術科学大学の大西隆学長は、「今回の共同研究講座は、(豊橋技術科学大学としては)初の試み。共同研究講座では、コベルコ建機の技術者の方々と、一つ屋根の下、建設分野で主に使用する大型クレーンの次世代技術として、『自動運転・遠隔運転・運転アシストなど』を実現するため、必要な新技術の研究に取り組んでいく」と連携の意義を話す。
コベルコ建機社長の楢木一秀氏は、「現在、高齢化と労働者人口減少が社会課題となっており、建設機械業界でも人手不足が顕在化している。ユーザー現場主義を理念に、大学の高度な“知”を企業の製品に“実装”し、より付加価値の高い製品を世に送り出すこと、さらには、大学と企業が組織的に共通の課題に取り組み、豊かな社会の建設に貢献していきたい」とコメントしている。
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