建機自動化の現在地とその先に――【前編】:CATの自在な拡張性を持つ次世代スマートショベル:建設・測量生産性向上展2019(4/5 ページ)
キャタピラーと大成建設は、割岩や土砂の掘削・積み込みを自動化する技術開発を進めている。先立つことキャタピラーでは、Next Generation Hexと位置付ける次世代IoTショベルを2017年に発売。同機種の市場投入を機に、これまでの開発方針を転換させて、断続的な機体のフルモデルチェンジから脱し、ガイダンスやアシスト機能などを年次アップデートさせていく、デジタルプラットフォームを構築した。
年内にはリモートコントロールキットを発売
戦略に基づき、これまでに5回のアップデートを実施。ガイダンスやトラッキング機能の追加、ユーザーインタフェースの改善を見直した。年内には、リモートコントロールキット「Cat Command(コマンド)」の国内での販売も予定されている。
Cat Commandは、320/323のStd仕様機を、目視内でリモコン操作する機体に更新するコントロールユニットで、部品キットとカスタム作業をパッケージする。フル電子制御の機体を対象にし、送受信ユニット、ECM電気配線/スイッチ、回転灯、コンソールを追加装備するだけで、リモコン仕様にアップグレードされる。油圧パイロット方式を採用した従来機で同様の改造を試みる場合は、油圧配管の変更などで数週間の整備期間と労力を要していたが、デジタルプラットフォームによって、大幅なコスト削減と時間の短縮がもたらされる。
既にリモコン仕様機は災害復旧の現場で活躍している。災害現場の近くに次世代標準型の油圧ショベルがあれば、短時間で災害復旧に対応することが可能になる。
Cat Commandのキットに含まれるコンソールにも特徴がある。2.4GHz(ギガヘルツ)のFHSS双方向通信により、遠隔操作機のステータス確認や操縦を行う。今までは、機体のそばまで近づかなければ確認できなかった燃料の残量も画面上でモニタリングされ、各種ガイド機能の設定もコンソール上で行え、最大64台までの同時稼働にも対応する。
キャタピラーによれば、今回リリースするコンソールによる目視内の遠隔操作は最初のステップだと言う。次の段階のステップ2はショベルのキャビン内を模した操作装置「REMOTE STATION(リモートステーション)」で、目視内の遠隔コントロール。ステップ3はREMOTE STATIONを使った目視外操作、ステップ4は目視外で1人の作業者が複数機を操作する「SEMI- AUTONOMOUS(セミオートノマス)」が構想されている。
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