賃貸住宅の臭気対策に利用可能な室内臭気低減工法を開発:新工法
室内臭気を短期間で効果的に低減する業界最先端の工法を、都市再生機構、日本総合住生活、ナオス・テックが共同開発。測定・分析、消臭、封じ込めの3ステップからなる。
都市再生機構、日本総合住生活、ナオス・テックは2019年5月21日、室内に残る臭気を短期間で低減する最先端の工法を開発したと発表した。臭気成分を測定および分析し、各臭気物質に最適な薬剤の散布などにより消臭する。さらに、臭気発生源に特殊シートなどを張り付けすることで発生源を封じ込める。
同工法は、アンモニア、酢酸、ギ酸など90種類以上の臭気成分に対応する。成分を特定後は、クエン酸、重曹、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素水などから最適な薬剤を選択し、散布、浸透によって無害化して中和する。また、室内の高温化による臭気物質の揮発や活性炭を用いた吸着も併用し、徹底的に消臭する。
特殊シートは、凸版印刷が特許を持つ透明蒸着バリアフィルム「GL FILM」を住宅用に改良したもの。積層構造で世界最高水準の臭気遮断効果を持つガスバリア性を持ち、酸素や温度変化、湿度の影響を受けにくいGL FILMの特徴を保ちつつ、粘着性シールによって建材に直接貼ることを可能にした。シートの上からクロスを張ることもでき、施工性もよいという。シートの貼れない細部は変性シリコンによるラッピング防臭を施す。
日々の生活により発生する生活臭は、コンクリートやモルタルなどの建材にも浸透する。また、生活スタイルにより臭いの原因となる成分はさまざまである。これらの臭いは内装の張替えや清掃だけで消臭することが難しく、建物を管理する上で課題となっていた。本工法は、約60件のUR賃貸住宅で実証し、臭気を短期間に軽減する効果を確認した。
今後は本工法の技術提供を幅広く行う予定としている。
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