超硬質地盤の改良工を実現する新工法を開発、CIMとの連携で地盤工事“見える化”も:地盤改良
不動テトラとソイルテクニカは、超硬質地盤の改良を実現する「CI-CMC-HG工法」を開発した。新工法は、大径深層混合処理工法「CI-CMC工法」に貫入能力を高める機能を付加した技術で、適用地盤の拡大と支持層への確実な着底施工が可能となる。BIM/CIMの施工管理システムとも連携し、地盤工事の可視化や施工結果の3次元モデル作成に活用できる。
不動テトラとソイルテクニカは、超硬質地盤の改良工事を実現する「CI-CMC-HG工法(Contrivance Innovation-Clay Mixing Consolidation-Hard Ground)を開発した。より深い層にある硬い地盤や山間部などに点在する軟弱層と硬質層が混在する地盤へ、積極的な展開をしていく。
強固な地盤を求めるインフラへ展開
CI-CMC工法は、エアを用いてスラリーを霧状に吐出する「エジェクター吐出」機構の開発で、大径かつ高品質な改良体を造成する深層混合処理工法。霧状スラリーが土をほぐし、土粒子の流動性を高めることから、貫入・撹拌(かくはん)の負荷を低減し、N値50程度の砂質地盤、N値15程度の粘性土地盤へ適用することができるようになる。
工 法 名 | CI-CMC 通常タイプ | CI-CMC-HA 硬質地盤対応 | CI-CMC-HG 超硬質地盤対応 |
---|---|---|---|
砂 質 土 | 35 | 50 | 70 |
粘 性 土 | 14 | 14 | 20 |
適用地盤の最大N値(Φ1600×2) |
CI-CMC-HG工法では、さらなる貫入能力の向上を目指し、現状オーガーの約2倍のトルクを有する高トルクインバータモータを採用した超硬質オーガーを用いることで、モーター出力はそのままながら現行の回転トルクが約2倍となり、N値50を超える砂礫(されき)地盤にも対応する。
また、貫入補助として、撹拌軸の先端から圧縮エアと固化材スラリーを噴射する「先端吐出機構」の併用も可能で、先端吐出をしない場合と比較して、貫入時の回転トルクを約3割抑えられるため、幅広い硬質地盤へ適応する。
これまで超硬質地盤が介在する地盤では、アースオーガー(2軸同軸式)による先行削孔工を行っていたが、CI-CMC-HG工法は先行削孔工の併用が必要ないため、大幅なコストの低減、工期の短縮が見込める。
新工法開発の意図として、従来工法のCI-CMC工法は、高品質の改良体を高速で施工できる大径の深層混合処理工法の代表的な技術として、国内外で広く採用されている。しかし、東日本大震災以降、これまで強度が十分で改良は不要とされていた硬い地盤でも、地盤改良が必要な場合や構造物によっては改良体を堅固な支持地盤へ確実に根入れすることが求められるケースが増えている。こうした硬い地盤では、貫入不能や貫入に時間を要するなどの問題があり、安定した品質確保には特別な施工対応が必要で、超硬質地盤に適用できる工法の開発が求められてきた。
こうした社会的要請に応えることと、課題を解決するため、不動テトラとソイルテクニカは、信頼性の高いCI-CMC工法の貫入能力をより高める施工機能を採り入れ、新たにCI-CMC-HG工法を実用化させた。
CI-CMC-HG工法は、地盤改良のBIM/CIMに対応した施工管理システム「Visios-3D(ビジオス・スリーディー)」を搭載することも可能。今まで、分かりにくいとされてきた地盤改良現場の“見える化施工”や施工結果の3次元モデル作成ができるようになり、地盤改良の信頼性の向上と施工品質の確保が図れる。
今後は、大都市圏周辺をはじめ、大規模な地震の発生が予想される地域に計画される多くの施設やその敷地、重要構造物に積極的な適用をしていくという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 鋼矢板を連続して圧入する「拘束地盤免震」を採用した“技研製作所の新社屋”が完成
技研製作所は2019年2月25日、インプラント構造の連続壁による免震技術「拘束地盤免震」を用いた高知本社新館が完成したことを公表した。 - 飛島建設ら3社が“木材活用”の地盤補強工法で、日本建築センターの評定を初取得
飛島建設、住友林業、ミサワホームの3社が共同開発を進める「丸太打設軟弱地盤対策&カーボンストック工法(LP-SoC工法)」が2019年度にも実用化されそうだ。同工法は、自然の丸太を地中に打設することにより、軟弱地盤の補強と炭素の貯蔵を同時に施すもので、地球環境対策や国産材の利用拡大につながると期待される。 - “液状化”や“道路陥没”対策に有効な「3次元地盤モデル」、渋谷再開発にも活用
「buildingSMART International Summit,Tokyo」が2018年10月16〜19日に開催された。プログラムの中から、3次元地盤モデル(3D subsurface model)の取り組みを語った応用地質・島裕雅氏の講演を取り上げる。 - 急な斜面崩壊の予兆を補足、無人で使える地盤変位解析システム
大林組は古野電気と共同で、地盤変位を高頻度に自動解析し、突発的な斜面崩壊の危険性を判断する「マルチGNSS地盤変位計測システム」を開発した。全地球航法衛星システム(GNSS)を活用したシステムで、従来より素早く突発的な斜面崩壊などの前兆を捉えられる。