ニュース
AIでミキサー内のコンクリ練り混ぜ画像から、柔らかさを瞬時に把握:AI
太平洋セメントは、コンクリート製造の自動化・高度化をもたらす基盤技術として、練り混ぜ後のコンクリートのスランプを、AIで瞬間的に高精度で予測する技術を開発した。
太平洋セメントは、AIを用いてコンクリートの製造工程で、ミキサー内の練り混ぜ画像から、瞬時にスランプを予測する技術を開発した。
固まる前のコンクリートの軟らかさを表す指標値“スランプ”は、最も重要な品質項目の一つとされる。そのため、コンクリートの製造工場では、適正な材料や計量の管理に加え、オペレータはミキサ内のコンクリートが練り混ぜられている状況をモニター越しに確認しながら、スランプの安定化を図る手間が生じている。
新技術は、AIの深層学習(ディープラーニング)による画像認識を利用し、ミキサー内のコンクリート練り混ぜ中の映像から、瞬時にスランプの予測を行う。正解率(実測値±2.5センチ以内)は、99%以上と、JIS規格で定められている許容差高い精度を有しているという。
今後は、AIによる予測技術をコンクリートの製造工場へと実装し、コンクリート品質のさらなる安定化と製造工程の人手不足を解消する省力化や自動化を進めていくとしている。さらに、画像だけではなく、材料や製造などに関する各種データと組み合わせることで、工事現場の荷卸し時や硬化後の品質予測などの技術を確立することを目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 西松建設のコンクリ保温/保湿養生シート「シンプルキュア」を函体に適用、表層品質が大幅向上
西松建設は、コンクリート用保温/保湿養生シート「シンプルキュア」を推進工法の“函体養生”に適用した。 - 産廃の“戻りコン”を再生する環境コンクリ、「藤沢公民館建設」に6000m3適用され藤沢市内の廃棄量600tも削減!
鹿島建設、三和石産、東海大学が共同で開発した環境配慮型コンクリート「エコクリートR3」が、神奈川県・藤沢市で建設が進む複合施設建設工事の建物躯体に6000m3適用された。産廃となるしかない施工で使用できない生コンを再利用するため、藤沢市内で発生する生コンの廃棄量を約600t削減することにつながるという。 - コンクリ表面が“スベスベ”になる鹿島の「美シール工法」、シート貼り付けを自動化する装置を開発
鹿島建設は、2014年に積水成型工業、東京大学石田哲也教授と共同開発したコンクリートの表層品質を向上させる「美(うつく)シール工法」で使用する高撥水性特殊シート「美シート」を、型枠材に自動で貼り付ける装置を開発した。 - 総工費の6割を占めるダムのコンクリ打設工事を“完全自動化”、施工管理者は打設計画を入力するだけ!
清水建設は、軌索式ケーブルクレーンを利用するダムコンクリートの打設工事で、コンクリートの製造から運搬・打設に至る一連の作業を完全自動化する「ダムコンクリート自動打設システム」を開発した。2019年3月から実際のダム建設工事で本格的に運用を開始する。 - コンクリ壁面の“湿潤養生”を1日1回で済ませられる高保水性シート、西松建設が開発
西松建設は、ボックスカルバートの側壁や橋脚の柱部など、コンクリートの壁面を均質に湿潤養生できる高保水性シート「モイスチャーウォール」を開発した。既に、東北地方の橋梁(きょうりょう)工事に、適用することが決まっているという。