インフラ構築費も削減、東電PGらが電柱上の携帯電話基地局の「シェアリング」を実証:5G
東京電力パワーグリッド、KDDIら4社は、次世代移動通信「5G」の導入を見据え、電柱などの電力インフラを使った携帯電話基地局の設置の効率化/共用化の実証実験に着手した。
東京電力パワーグリッド、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルネットワークの4社は、電柱などの電力インフラを使った携帯電話基地局の設置の効率化/共用化の共同実証をスタートさせた。これまでの通信規格よりも、基地局数の大幅な増加が必要とされる第5世代移動通信システム(5G)への対応を見込んだもので、基地局設備を携帯電話の事業者間で共用する「シェアリング」の実証も同時に行う。
5G普及に伴い基地局不足の問題に“シェアリング”で対応
5Gは、通信の高速化・大容量化に伴い高周波帯を利用するため、短い距離間隔で基地局を設置する必要があり、今まで以上に基地局の数が増加することが見込まれる。しかし、設置場所を確保するのは容易ではなく、アンテナなどの設備が林立することで景観への配慮も必要となる。基地局の効率的な施工や通信網を構築する費用の増加といったコスト面でも懸念材料がある。
こうした課題に対し、東京電力パワーグリッドはKDDIと協力して、電柱などの電力インフラを使った基地局の設置と、基地局設備の携帯事業者間での共用について検討してきた。
共用設備のイメージとしては、電線や光回線を架線している電柱上に共用のアンテナを設置。そこに複数社の無線機を備え付けることで設備をシェアする。既に実機を使ったシェアリングの実証にも着手している。
実証にはソフトバンク、楽天モバイルネットワークも参加。シェアリングの実現可能性を確認するため、電柱上の基地局設置に関する資機材/機器の配置、施工性、保守性、アンテナの共用による電波干渉の状況を評価する。
シェアリングを行うことで、都市部では柔軟な5Gの基地局運用が実現する。地方では、早期にサービスが開始できるなど、多様なニーズにも応えられる。設置場所の確保、設備の乱立といった問題も解消することが期待される。
東京電力パワーグリッドでは、「今後は、4社共同で実証実験を踏まえ、通信インフラの構築費用を削減し、地方への5Gの円滑な導入を図っていく。そのため、5Gの活用を予定している関係者に広く声を掛け、実証を進めていく」としている。
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