1990年度比“CO2半減”の環境目標を2年前倒しで達成、西松建設:ZEB
西松建設は、「中期経営計画2017」で掲げた、2020年度までにCO2を1990年度と比較して半減する目標を2年早く達成させた。
西松建設は、2015年5月に「中期経営計画2017」で策定した「2020年度までにCO2を1990年度比で50%削減する」という目標を2年前倒しで削減率52%に到達した。
創エネを見据え、2030年にはCO2排出ネットゼロを目標に
西松建設がこれまでに行ったCO2削減につながる取り組みではまず、全ての建設現場で工事用仮設照明をLED化。現場仮設事務所でも、随時LEDへと置き換えた。固定オフィスの本支社支店営業所なども完全にLED照明に統一した。
建設機械では、軽油に代えて、植物由来の廃食油を原料とする軽油代替製品でカーボンニュートラルな燃料の「バイオディーゼル燃料」を使用した他、CO2削減につながる軽油の燃焼促進剤も採り入れた。燃焼促進剤は、軽油に1/1000混合することで建機の燃費が10%ほど向上する。
重機自体も、ハイブリッド重機や省エネ建機など、燃費低減に貢献する省エネ型の機種を採用。2017年度実績で、CO2削減量約120t-CO2(二酸化炭素トン)のハイブリッド重機が約2282台/日、CO2削減量約110t-CO2の省エネ建機が約4066台/日を稼働させた。さらに操縦者側の意識も変えるため、省燃費運転講習の現地開催を毎年実施して、省燃費の運転励行を全社で展開した。
また、太陽光発電システムを毎年指定した現場に設置した以外に、CO2排出量の多い山岳トンネルでCO2削減をもたらす「移動式発破防護バルーン」「連続ずり出しベルコン」「電力制御システムN-TEMS」などの開発と運用を行った。
施工を手掛けた建築物では、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)を推進。2018年1月に竣工した物流施設「プロロジスパーク市川3」に続き、2018年12月に完成した自社保有のオフィスビル「NCOメトロ神谷町」では、省エネで建物のエネルギー消費量を50%以下まで削減した建築物を認証する「ZEB Ready」を取得した。ZEBに関する設計・施工、コンサルティングのサービスを提供できる企業を公開する制度「ZEBプランナー」にも登録し、ZEBの普及を推進している。
その他にも、「全ての現場で生物多様性活動を実施する」を4年早く達成。「産業廃棄物の最終埋立処分率3%未満にする」に至っては5年前倒しで実現した。他に「電子マニフェスト100%導入」や東京商工会議所が主催の環境に関する検定試験「eco検定」(環境社会検定試験)では、在籍社員の90%以上に当たる2300人が合格している。
西松建設では、2018年10月に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発表した「1.5℃特別報告書」を受け、今後の10年間が人類にとって最後の対策期間であることを強く認識し、脱炭素化を目指して、2030年までに“CO2排出ネットゼロ”にチャレンジする。さらに、省エネだけでなく、CO2削減技術と再生可能エネルギーの導入拡大など、創エネにも取り組んでいく意向を示している。
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