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不夜城と呼ばれた千葉の地場ゼネコンが「ニコニコ帰れる日」を実現するまで 建設DX15年の道のり地場ゼネコンのDX(3/5 ページ)

千葉県成田市に本社を置く地場ゼネコンの平山建設は、2011年のGmail導入以降、約15年にわたりデジタル技術の活用による業務改革を進めて来た。工事部の平均残業時間は月40時間超から26時間へ減少した一方で、平均年収を170万円以上引き上げた。平山建設 代表取締役社長 平山秀樹氏らに業務改革の歩みを聞いた。

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セキュリティへの不安をどう乗り越えたか

 クラウドでの情報共有の仕組みをスムーズに構築できた背景には、以前から続けてきた地道なデータ整理の取り組みがあった。2017年の本社移転時に資料の種類ごとに保存場所を定める「ファイル基準表」を整備し、「この資料は必ずここに保存する」というルールを社内で統一した。保管場所とルールを事前に整理していたため、クラウドへ移行しても情報が散在せずに済んだ。

 当時は1000万円以上を投じて自社サーバを構築したが、Google Workspaceへのデータ移行が進んだことで、後に数十万円規模の簡易なNAS(Network Attached Storage)へ置き換えている。

 クラウド化を進める上で、平山氏が繰り返し向き合ってきたのが情報セキュリティへの懸念だ。社内に専務取締役の土屋剛氏を中心とした「セキュリティ分科会」を設置。情報セキュリティ専門家の助言を受けながら、社内ポリシーの見直しやエンドポイントセキュリティの強化、Wi-Fi環境のセキュリティレベル引き上げなどに継続的に取り組んでいる。

 平山氏は「業務システムをGoogle Workspaceに集約したことで、セキュリティ管理自体もシンプルになった」と話す。個別のツールを乱立させると、その分だけ管理すべき対象が増える。1つの基盤に情報を集約することが、結果的にセキュリティ対策の効率化にもつながっているという考え方だ。

BIMを設計ソフトではなく「知識共有の仕組み」に

 情報共有の土台を整えた平山建設が次に着手したのが、BIMの本格運用だった。当初、平山氏はBIMについて「大手ゼネコンや超高層ビル向けのもので、地場の中小建設会社に必要なのか」と懐疑的だったという。

 だが取り組みを進める中で見えてきたのは、似た形の住戸を繰り返し設計する賃貸マンション事業だからこそBIM活用による効率化が現れやすいということだった。平山建設がこれまでに手掛けた賃貸マンションは153棟、4465世帯。その多くは25平方メートル前後のワンルームで、構造や住戸プランに共通点が多い。

 そこで採用したのが、外部ファイルの内容を作業中のプロジェクトファイルに挿入できる「ホットリンク」を活用した設計手法だ。基準となる住戸ユニットを作成し、建物全体へリンクする。仕様変更があってもリンク先へ変更内容が反映されるため、修正の手間とミスが削減した。

 さらに設計品質の均質化を図るため、独自の標準化ルールを構築し、標準部材を全て配置した参照用データや社内標準を反映したテンプレートデータを整備した。さらに、社内のBIMポータルにテンプレートや入力ルール、部材ごとの解説動画などを集約し、属人化していたBIMの知識を、他の社員が参照して利用できる情報へ変えた。新入社員もポータルを見れば社内の設計ルールとBIMの操作方法を学べる。現場や設計部門から寄せられた改善要望はその都度、標準データやルールへ反映している。

 施工段階でも、タイル割りやコンクリート数量の拾い出し、設備との干渉確認などにBIMを利用。業務の効率化や現場での手戻り抑制に寄与している。

 平山建設はBIMを、図面を3D化するための設計ソフトとしてではなく、社内の設計知識を標準化し、次の仕事で再び利用するための情報基盤として位置付けている。

 BIMやGoogle Workspaceの活用は、若手社員の意欲にもプラスの影響を与えているという。鈴木氏によると「新卒採用の社員に入社理由を尋ねたところ、当社がGoogle WorkspaceやBIMなどのデジタル技術を積極的に採用していることが決め手になったと答えた社員もいた」という。BIMを学んできた若手にとって、入社後もその知識を生かせる環境があることが会社選びの材料になっている。

 「若手が不安に感じるのは先輩との経験や知識の差だ。一方、BIMやデジタルの分野は、ともに成長していくことで強みにできる。積極的にまかせることで自信にもつながる」と鈴木氏は話す。

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