10m規制でも4階建て実現、三井ホームと銘建工業がCLT遮音床構造を開発:新建材
三井ホームと銘建工業は、CLTを用いて遮音性能と薄型化を両立した遮音床構造を共同開発した。上階の床から下階の天井までの遮音床構造を300ミリメートル以下に薄型化し、木造集合住宅で課題となっていた最高高さ10メートル以下の規制エリアで、4階建ての実現可能性が広がる。
三井ホームと銘建工業は2026年7月、CLT(直交集成板)を用いて遮音性能と薄型化を両立した遮音床構造を共同開発し、2026年7月3日付で特許(出願番号「特許 2026-136431」)を出願したと明らかにした。
木造4階建ての可能性を広げる遮音床構造
近年、脱炭素社会の実現や木材利用促進への関心の高まりから、木造建築への期待が高まっている。しかし、建築する際には都市計画法などによる建物の高さ制限、建築基準法による居室の平均天井高さの制限などがあり、最高高さ10メートル以下の規制エリアでの木造住宅は3階建てまでが一般的な限界となっていた。
こうした課題に対し、通常では上階の床から下階の天井まで含めて厚さが、500ミリ程度となっている遮音床構造の厚さを300ミリ以下にできれば、木造4階建て建築物の可能性が見いだせる。そこで、賃貸住宅事業で高遮音床仕様の「MOCX MUTE(モクスミュート)」を開発した三井ホームと国内CLTメーカーの銘建工業は、薄型化と遮音性能を両立できる遮音床構造の開発に着手した。
新構造では、三井ホームが開発した高遮音床仕様「MOCX MUTE(モクスミュート)」の床根太部分に、銘建工業が製造する国産材のCLTを採用した。
遮音性能は、重量衝撃音(ダンピング)試験でLH-60程度を達成。軽量衝撃音(タッピング)試験では、目標としていたLL-55を下回るLL-50を確認した。LLは軽量床衝撃音、LHは重量床衝撃音に対する遮音等級を示すもので、いずれも数値が小さいほど遮音性能が高い。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
木造化/木質化:優良木造建築「先導枠」、鹿島の9階建てオフィスと日鉄興和の12階建てホテルを採択 国交省
国土交通省は、2026年度「優良木造建築物等整備推進事業」の先導枠に、鹿島建設の地上9階建てオフィスビル建設プロジェクトと、日鉄興和不動産の地上12階建てホテルへの建て替えプロジェクトを採択した。いずれも木造化に関する先導的な設計/施工技術などが評価された。
木造/木質化:北海道に5つの木造交番が完成、地元建材活用 三井ホーム
北海道札幌市と恵庭市に、三井ホームグループ初となる木造交番5棟が完成した。構造体にCLTを採用し、工場で組み立てた箱型ユニット工法を用いることで、高い安全性を確保しながら移築/移転の場合の再利用も容易とした。地元建材の積極的な利用や地元企業との連携にも取り組んだ。
3Dプリンティング:3Dプリンタ外構や環境コンクリも、鴻池組の次世代「混構造」オフィス計画
鴻池組は、大阪府岸和田市の「西日本メカトロニクスセンター事務所棟」を鉄骨と木造の混構造で建て替える。脱炭素化とBCP強化を見据え、独自開発の環境配慮型コンクリートや3Dプリンタ工法を導入する計画だ。
長谷工コーポレーションが長谷工テクニカルセンター内の技術研究所に「音響実験棟」を建設
長谷工コーポレーションは、東京都多摩市に所在する長谷工テクニカルセンター内の技術研究所に、遮音性能検証に特化した「音響実験棟」を建設した。建物の基礎や構造、室内外の環境などに関する性能実験を多面的視点から行うという。
“江戸長屋”を再現した木造ホテル開業、東京スカイツリー近くの病院跡地で三井ホームが施工
東武不動産と三井ホームとの初の共同事業で、東京都墨田区押上一丁目に江戸の長屋をイメージした木造2階建て宿泊施設「T-home 景(KEI)」が2026年2月11日に開業した。客室数は29室で、宿泊定員約200人で東京スカイツリータウンに近く、室内も日本の伝統的要素を取り入れた和モダンな空間とし、外国人観光客の宿泊需要を取り込む狙い。
三井ホームが「MOCX WALL」初採用の3.5億円モデルハウス公開 大開口で示す次世代木造邸宅
三井ホームは、「つなぐ―これからの邸宅」を掲げるモデルハウスを、駒沢公園内の住宅展示場にオープンした。戸建て住宅向けに最適化した「MOCX WALL工法」を初採用し、耐震性能を確保しながら大開口を実現。木の質感や外部とのつながりを生かしたウェルビーイングのデザイン、木造建築物の普及による脱炭素社会への貢献も打ち出し、都市部における次世代の木造邸宅の可能性を示した。

