三菱電機ビルソリューションズの「AI-Ready」戦略、AWSとの協業で初弾は昇降機保守のKYアプリ:AIで現場の危険を予測!(2/3 ページ)
三菱電機ビルソリューションズは、2025年10月に全社のAI活用を推進する「AI推進プロジェクト」を立ち上げた。AWSとの協業も含めた共通基盤の整備や人材育成を通じて「AI-Ready」を進め、2030年に向けて「データ駆動型の事業」の実現を目指す。その初弾となる実装成果が、現場の危険予知活動を支援する「KY-Supportアプリ」だ。
KY-Supportアプリで危険予知活動の属人化を抑制
MEBSでは、安心安全や倫理遵法の徹底を経営の基本と位置付けている。現場の労働災害ゼロを目指すうえで、作業前の危険予知(KY)活動は欠かせない。こうした安全文化と結び付いているのが、2025年にMEBSデータ利活用基盤を利用して開発したKY-Supportアプリだ。
現場ではこれまで、紙を使って4ラウンド(4段階)のKY活動を行っていた。しかし、危険ポイントの洗い出しには個人差があり、経験の浅い作業者はリスクを取りこぼす可能性がある。一方、ベテランでも慣れやマンネリで活動が形骸化することがあり、危険予知の質が個人の経験やスキルに左右されていた。
そこでKY-Supportアプリでは、4ラウンドKYの手順に準拠しながら、作業内容に応じてAIが危険ポイントを抽出する仕組みを取り入れた。ベースとなるデータは、過去の昇降機の作業データを全件取り込み、過去の災害情報も数千件規模で活用しているという。
サブプロジェクトマネージャーの加藤麻耶氏は、アプリ開発で重視した点は、2つあるとした。
1つは現場での操作性だ。現場でPCを立ち上げなくてもいいように、スマートフォンで扱えるようにした。音声入力にも対応するなど、簡単に操作できることを重視した。
もう1つは、全てをAIに任せるのではなく、作業者自身が考える仕組みとした点だ。
第1ラウンドでは、MEBSで定める安全に関する10項目の基準に沿って、AIが作業内容に応じた危険ポイントを抽出する。墜落や転落など、注意すべき危険が表示され、作業者は内容を確認し、納得するなら次へ進む。AIの提示内容に違和感があれば、チェックを外すこともできる。AIに任せきりにせず、作業者自身が判断する余地を残している。
第2ラウンドでは、第1ラウンドで抽出された危険ポイントの中から、今回の作業で最も重要な危険を作業者自身が絞り込む。
第3ラウンドでは、その危険に対する行動目標を入力する。音声入力にも対応しており、入力内容が安全衛生部の定めた形式に沿っているかをAIが確認し、必要に応じて改善を促す。加藤氏によれば、「現場でも好評で、『そうだった』という気づきを与えられる形になっている」という。
第4ラウンドでは、AIが行動目標をもとに指差呼称用の短縮文章を生成する。作業者はそれを現場で指差呼称し、タップして確認することで、4ラウンドKYの一連の流れが完了する。
導入間もないが、現場からはおおむね好意的に受け止められている。複数人の作業時にリーダーの画面を他メンバーの端末にも共有したいという要望もあり、使い勝手の改善も予定している。
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