「地上の太陽」南仏の核融合実験炉に5基目の真空容器セクターモジュール導入:プロジェクト
量子科学技術研究開発機構 那珂フュージョン科学技術研究所は、南フランスで世界30カ国以上が協力して建設中の核融合実験炉「ITER」で、5基目の真空容器セクターモジュールの据え付けに成功した。
国立研究開発法人の量子科学技術研究開発機構(QST) 那珂フュージョン科学技術研究所は2026年6月25日、南フランスで建設中の核融合実験炉「ITER(イーター)」で、5基目となる真空容器セクターモジュールの据え付けが完了したと発表した。
ITERは、日本、EU(欧州連合)、米国、中国、韓国、インド、ロシアの7極、30カ国以上が参加して建設を進める世界最大の核融合実験炉だ。クリーンで持続可能なフュージョンエネルギーの開発に向けて、南フランスのサン・ポール・レ・デュランスでの建設が進行中だ。実験装置の中心にある真空容器は、40度の巨大なセクターモジュール9基を精密に組み合わせることで完成する。
36時間をかけて据え付け作業が完了
今回据え付けた真空容器セクターモジュール4号機は、構成部品や吊(つ)り具を含めると約1400トンに達する。据え付け作業は2026年5月26〜27日に約36時間かけて実施した。事前試験や検証に9時間、トカマクピットへの移送に12時間、最終設置位置への高精度な据え付けに15時間を要している。
今回の工事の結果、全9基のうち5基の設置が終わり、ドーナツ状の真空容器が全周360度の約200度分まで完成している。
吊り上げ前の手順は測量データを確認しながら、作業員はセクターモジュールと天井クレーンを接続するワイヤーに徐々に張力を加えた。続いて、セクターモジュールを90ミリ持ち上げる試験吊り上げを実施し、一部のセンサーを取り外した。その後、セクターサブアセンブリ治具内でモジュールを固定していた締結具(ラッシング)を解除し、さらに500ミリまで持ち上げる試験が行った。
最終的な測量チェックで干渉がないことが確認された後、セクターモジュールは治具から引き出され、慎重にトカマクピットへ移送。天井クレーンによって降下されたセクターモジュールは、最終設置位置の500ミリ上方まで到達した。その後、センサーの再接続、ラッシングの取り付け、干渉の再確認などを行った。
今回の作業を統括した主任建設マネージャーは、「今回の吊り上げ作業が成功したのは、作業のあらゆる段階で優れた仕事が行われたからだ。入念な準備とチームの迅速な対応力により、作業中に発生したさまざまな課題にも適切に対応し、安全な据え付けを完了することができた」とコメントする。
今回のセクターモジュール4号機は、ITERの基準スケジュールより前倒しで据え付けを完了。工程改善により、真空容器セクターを治具へ搬入してからトカマクピットへ据え付けるまでの期間は、セクターモジュール7号機の7.4カ月から5.5カ月へ短縮したという。
ITERは2026年夏に6基目、同年内には7基目の真空容器セクターモジュールを据え付ける予定だ。
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