自律施工型ブルドーザー「Smart Dozer」で河川敷約2400m2を整地、連続した土砂山の敷き均しも:i-Construction 2.0
清水建設は自律施工型ブルドーザー「Smart Dozer」を、茨城県水戸市で施工する「R4那珂川左岸小場地区周囲堤築堤工事」に実適用し、河川敷約2400平方メートルを整地した他、連続した土砂山を検知して敷き均す実証施工にも成功した。
清水建設は2026年3月17日、ボッシュエンジニアリング、山崎建設(崎はたつさき)と共同開発した自律施工型ブルドーザー「Smart Dozer」を、茨城県水戸市で施工する国土交通省発注の「R4那珂川左岸小場地区周囲堤築堤工事」で実適用したと発表した。河川敷約2400平方メートルの敷き均し作業を実施した他、連続した土砂山を検知して敷き均す実証施工にも成功した。
R4那珂川左岸小場地区周囲堤築堤工事は、周囲堤の築堤用土を下流の河川敷から約9万平方メートル掘削して採取し、周囲堤の整備と河道の流下能力向上を図ることを目的に計画された。那珂川緊急治水対策プロジェクトの一環として、2019年の台風19号による那珂川流域の被災を踏まえて実施している。工期は2023年4月1日〜2026年3月31日。
Smart Dozerは、環境認識機能用センサーと自律制御を行うAIを搭載したブルドーザー、施工計画に応じてブルドーザーに作業指示を送る施工制御部(マスターシステム)から成る。
今回の実施工では、高さ約1.5メートル、約3.5立方メートルの土砂山4つを検知し、約1000平方メートルにわたって敷き均す実証施工を行った。マスターシステムから土砂山の位置を認識させると、AIが最適な移動ルートを生成し、土砂山を崩しながら敷き均しを行った。自律施工時間は12分で、施工精度は±4〜5センチだった。
続いて、河川敷の約120×20メートルの範囲で敷き均し作業に実適用した。作業員が施工範囲をSmart Dozerに認識させると、移動からブレード操作までを自律稼働し、20分で約2400平方メートルの敷き均しを完了。所定の施工精度の±4〜5センチを確保した。
自動化レベル3の評価 実用化で省人化/燃費削減などの効果
Smart Dozerは、環境認識用センサーとして3D LiDAR、カメラ、IMU(慣性計測装置)、GNSSを搭載。直径最大約50メートルの範囲の地形と約25メートルの範囲の物体識別が可能だ。これまでの実証施工で、物体や人を検知して停止し、検知しなくなると自動で再始動する機能、人や物体と土砂山などを識別する機能が検証済みで、建機自ら環境を把握/確認しながら最適な移動経路を選択し、自ら判断して作業を実行する自動化レベル3の評価を得ている。実用化によって、重機オペレーター/作業主任者/測量などの省人化(5人から3人に削減)、最適作業の選択による燃費約30%削減、災害時の危険作業対応や24時間稼働などを見込む。
清水建設は今後も自律施工型建機の開発を継続し、自律化機能を深化させ、最終的には他の建機との協調作業を実現させて土工事全体の自律施工化を目指す。
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