“CIM導入の止まりどころ”をほどく、DWG互換CAD「ARES」と土木アドオン:第10回 JAPAN BUILD TOKYO(3/3 ページ)
i-Construction 2.0でBIM/CIMの現場実装が求められる一方、現場には高機能化に伴う高コストや分業の壁があり、導入が進んでいない。キーノスロジックは、DWG互換CAD「ARES」、土木アドオン「J-CIVIL」、2D図面の整合性確認を省力化する「整合ナビ」の3つのツールで、現場のボトルネックを現実的に解消しながら、土木DXを前へ進める提案をする。
「3Dの前にまず2D」図面照査を支える「整合ナビ」
整合ナビは、2025年12月17日にJ-CIVILに追加された新機能だ。平面図や縦断図、横断図の差異を検出し、図面照査(整合性確認)の作業を支援する。
開発の焦点を2D図面の「整合性確認」に置いたのも現場ニーズが背景にある。担当者は「ヒアリングを進めると、まだ2D図面中心という現場が多かった。そこで原点回帰し、2D図面の整合性確認という現場で避けて通れない業務に焦点を当てた」と説明する。
整合ナビでは、平面図/縦断図/横断図の3種類を測点をクリックするだけで、1画面に連動表示できる。
さらに平面図上に横断線を重ねて可視化し、ズレが発生している位置を直感的に把握できるようにした。他のCADではシートが分かれており、図面を1枚ずつ切り替えて確認することが多い。横断図は何十枚にもなるため、読み込むと動作が重くなるが、整合ナビは図面を一括管理し、多数取り込んでも重くなりにくい。担当者は「登録した測点をクリックするだけで、平面図や縦断図、横断図の該当箇所が瞬時に切り替えられるため、照査作業のスピードと精度を大幅に向上できる」と語る。
操作設計にも工夫を盛り込んだ。図面を見ながら数値を書き写す際、手入力では点の取り違えや桁ミスが起きやすい。そこで、図面上の文字や数値をクリックすれば必要な情報を登録できる仕様とし、数値を目視でも確認できるようにした。
抜け漏れを防ぐ「未入力チェック」も備える。入力が必要な箇所が未対応のままだとアラートを出し、作業の取りこぼしに気付ける。
図面照査は経験と知識が求められる属人的な作業で、これまでは現場監督が担ってきた。だが現場監督は日中の現場対応に追われ、作業は深夜に及ぶこともあり、紙で何百枚も印刷して目視で寸法の整合を確認し、3日から1週間ほど費やすケースもあるという。図面照査に時間を取られることは、段取りや管理、人材育成に時間を割けないことを意味し、企業にとっても損失になりやすい。
整合ナビの目的は、負担を軽減し、作業の担い手を広げることにある。若手でも照査作業を進められるようにし、そのプロセス自体を教育の場としても活用する。現場監督は空いた時間を管理業務や学習、若手教育に振り向けられ、より付加価値の高い領域に集中できるようになる。キーノスロジックは、単価の高い現場監督の稼働を最適化することが、企業の基盤強化につながると位置付ける。
建設DXの流れは必然だが、一足飛びには進まない。現場が抱える現実的な課題を一つずつ解きほぐしながらDXを前に進めるというキーノスロジックの姿勢は、遠回りのようでいて、むしろ近道になり得るだろう。
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