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「建機自動化」による変革、安全性と生産性の劇的向上がもたらす価値【DeepX解説】建設DX研究所と探る「建設DX最前線」(9)(2/2 ページ)

建設DXの推進を目的に建設テック企業が中心となり、2023年1月に発足した任意団体「建設DX研究所」。今回は、建機の自動化という世界的にも前例が少ない領域に挑むDeepXが、本技術が建設業界の構造的な課題解決にもたらす価値について、具体的な技術アプローチを交えて解説します。

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 DeepXは現在、具体的な建設現場の課題解決に向け、複数の企業と協働で自動化技術の開発を進めています。具体例として、まず油圧ショベルでは、フジタと共同でROS 2ベースの自動運転システムを開発しました。LiDARと深層学習を用いてダンプの位置や土の形状を認識し、掘削から積み込みの自律的な繰り返し作業を行う技術です。2023年の実証実験では、約8時間の連続稼働で200回以上の作業に成功し、その高い安定性を証明しました。

 次にブルドーザーを用いた取り組みとして、JFEグループと共同で製鉄所内のスラグ破砕作業を対象に、自動化の実証実験を進めています。ブルドーザーにGNSS、IMU、傾斜計を搭載し、機体とリッパー(地面や岩盤を砕くための巨大な爪)の位置や姿勢をリアルタイムで正確に推定することで、作業員が遠隔で指示した範囲内で最適な経路を自動で算出し、機械がスラグ破砕を自律的に行うシステムを開発しました。火災リスクの高い高温スラグ処理現場での作業員の安全確保や人手不足の解消を目的に、本年度内の本格導入を予定しています。

スラグ破砕作業用のブルドーザー
スラグ破砕作業用のブルドーザー 出典:JFEグループ、DeepXプレスリリース

 DeepXは個別のプロジェクトで得た知見を共通化し、システムの拡張性を高めることで、将来に向けた事業のスケールアップを可能にする仕組みを目指しています。2024年には「SBIRフェーズ3基金事業」に2つの事業が採択されました。補助金をバネに技術実証を継続し、システムの長期信頼性や安定性を確立させ、実運用に向けた開発を推し進めています。

個別プロジェクトで開発した技術をプラットフォーム化し、個々の現場に適用できる未来を目指す
個別プロジェクトで開発した技術をプラットフォーム化し、個々の現場に適用できる未来を目指す 提供:DeepX

前例なき挑戦が未来をつくる

 建機の自動化には、単に個々の機械の制御ではなく、現場の複雑性や不確実性に対応し、複数の建機やプロセスが連携して最適な動作を行うことが必要です。そのため、現場全体のデジタル化が成功の基盤となります。

 DeepXの建機自動化への挑戦は、複雑な現場課題への解決策を示す一例であり、さまざまな挑戦の積み重なりと相乗効果が、建設業界や社会インフラ全体の持続可能性を高めます。社会実装が進むことで、産業構造は次世代に向かって進化し、大きな価値につながるでしょう。

 DeepXのようなスタートアップには、そのスピード感と他社との連携により価値あるプロジェクトを迅速に構築し、技術の早期実証を果たす役割が期待されていると考えています。DeepXはこの役割を通じて、「あらゆる機械を自動化し、世界の生産現場を革新する」ことを目指し、建設業界の課題解決に取り組んでいます。

著者Profile

牧野 佐乙美/Satomi Makino

DeepX 経営管理部。

大学、公的機関、民間企業で国際調整業務を中心とした実務を多く経験。

2021年にDeepXに入社し、現在はPR担当。

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