高輪ゲートウェイシティが国交大臣賞 国内最大級の蓄熱槽を核に街区脱炭素化:カーボンニュートラル(2/2 ページ)
脱炭素社会の実現に向けた優れた都市づくりの取り組みを表彰する「第2回脱炭素都市づくり大賞」で、JR東日本の「TAKANAWA GATEWAY CITY」が国土交通大臣賞、清水建設の「温故創新の森 NOVARE」が環境大臣賞を受賞した。どちらも建物内へのバイオガス設備導入や水素活用、街区内の熱融通といった最新エネルギーシステムの導入に加え、周辺への波及効果などが評価された。
街区全体でゼロエネルギー実現を目指す「ZES」実証拠点
環境大臣賞を受賞した清水建設のNOVAREは、街区全体でゼロエネルギーの実現を目指す「ネット ゼロ エネルギー ソサエティー(ZES)」の実証拠点として、多数のエネルギー削減/効率化施策を導入している。
清水建設 プロジェクト計画部部長 牧住敏幸氏は「NOVAREはラテン語で“新しくする”という意味を持つ。建設業は多くの課題を抱えているが、事業構造や技術、人材といった多面的なイノベーションを、自社だけでなく建設業全体で推進していく目的で整備した」と紹介した。
NOVAREは、体験型研修施設「NOVARE Academy」、ビジネスイノベーション創出施設「NOVARE Hub」、歴史資料館「NOVARE Archives」、研究施設「NOVARE Lab」、旧渋沢邸「NOVARE Forum」の5施設から成る。
建物間で熱を融通し合う地域熱融通システム「ネツノワ」を構築し、AIによる運用の最適化を図る他、オフサイト/オンサイトの両面での水素供給/利用システムを備える。建物内には人の位置情報を検知して個別制御を行う床吹き空調システム「ピクセルフロー」を採用するなど省エネ技術も活用し、新築全棟でZEBを達成している。
建物完成後も次世代技術の実証フィールドとして活用。大気中からCO2を直接回収する「膜DAC」実証実験やPoE(Power over Ethernet)を活用した統合型IoTネットワーク構築にも取り組む。
緑地計画では、従来は緑のなかった敷地に面積の26%に及ぶ緑地/水面を創出し、生物多様性に配慮したネーチャーポジティブ(ABINC/SEGES認証)や熱中症/街中の暑さ対策にも寄与する。
今回の審査では、建設廃材アップサイクルなども含む、総合的な環境配慮への姿勢が需要につながった。
「脱炭素型都市づくりのモデルになる取り組み」と評価
国土交通副大臣 佐々木紀氏は、「気候変動や生物多様性の損失などの課題解決に向け、国土交通大臣賞では、エネルギー利用の効率化、移動の低炭素化、都市の良質な緑地の創出の3つの視点を重視した」と説明し、受賞者の取り組みに対し敬意と感謝を示した。
環境副大臣 青山繁晴氏は、2025年夏の記録的な猛暑に触れ「世界の温室効果ガス排出量の7割は都市に起因している。日本でも都市づくりの過程から見直しが求められる」と危機感を示し、「環境大臣賞を受賞した温故創新の森 NOVAREはそのモデルになる取り組みだ」と評価した。
また、特別賞をアドバンテックの「糸プロジェクト」が受賞。愛媛県西条市において、全国初となるZEBホテルを中心に、大規模太陽光発電(約540キロワット)と自営線マイクログリッド、大型蓄電池とEMS導入によるエネマネなどエネルギー削減、効率化に取り組んでいる。「小規模都市チャレンジモデル」では、福島県広野町のPPAによるマイクログリッド構築事業と長野県箕輪町の「みのわサステナブルエネルギーPG」が受賞した。
村木氏は、特別賞に選ばれた地方都市でのプロジェクトについて、「大規模開発だけが都市づくりではない。事業規模が小さくても、マイクログリッド構築などを通じて地域全体を巻き込み、レジリエンスを高める姿勢は、他の小規模都市の手本になる。こうした積み重ねが、日本全体の脱炭素化を加速させる」と強調した。
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