建設業の約7割で正社員不足、「案件があっても受注できない」の声も 帝国データバンク調査:調査レポート
帝国データバンクの調査によれば、2026年1月時点で正社員の人手不足を感じている企業は52.3%と4年連続で半数を超え、建設業では69.6%に達した。
帝国データバンクは2026年2月20日、2026年1月時点の雇用過不足に関する調査結果を発表した。正社員の人手不足を感じている企業は52.3%で、前年同月から1.1ポイント低下したものの、1月としては4年連続で半数を超えた。業種別にみると最多は建設業の69.6%だった。
帝国データバンクは、2026年1月19〜31日に、全国2万3859社を対象にアンケートを実施。有効回答1万620社だった。正社員不足は高水準で推移している一方、非正社員の不足を感じている企業は28.8%で、前年同月から1.8ポイント低下し、1月としては2年ぶりに3割を下回った。
業種別で正社員の不足割合が最も高かったのは「建設」で69.6%だった。前年同月比では0.8ポイント低下したが、依然として約7割が人手不足を感じている。
奈良県の土木工事業者からは「案件があっても人手不足で受注できない。人件費や材料費増も受注単価に転嫁できていない」との声が上がった。また、静岡県の給排水/衛生設備工事業者は「受注価格の下げ競争は少なくなったが、人材をそろえられる分しか受注しないし、できない」といった回答もあった。
建設業に続き、ソフトウェア開発や情報処理サービスなどを含む「情報サービス」が前年同月比3.3ポイント減の69.2%となった。AIを活用したサービスの広がりやDXによる受注が増えるなか、東京都のソフト受託開発会社からは「一定の開発スキルが求められるため、案件と技術者のマッチングが難しくなりつつある」との声が聞かれた。2024年1月の77.0%と比べると7.8ポイント低下しており、AIの普及や性能向上に伴う不足感の落ち着きもあるとみられる。
その他、低賃金や不規則な労働環境などが要因で慢性的に人手が不足している「メンテナンス/警備/検査」で前年同月比0.9ポイント増の67.4%、公共工事減少などの影響を受けて建設業者からの発注が減る「リース/賃貸」で同0.1ポイント増の66.0%など、51業種中7業種が6割を上回った。
非正社員の不足割合を業種別にみると、「人材派遣・紹介」が60.0%で最も高かった。2025年7月以来のトップとなったが、前年同月からは5.3ポイント低下している。これまで不足感が顕著だった「飲食店」や「旅館・ホテル」は3年連続で改善している。一方で、「メンテナンス/警備/検査」は正社員、非正社員ともに前年同月から上昇し、高水準で推移している。
2025年に発生した人手不足倒産は427件と、3年連続で過去最多を更新し、初めて年間で400件を超えた。建設業や物流業、老人福祉事業など労働集約型の業種で増加が目立つ。
建設業を中心に「仕事はあるが、人手が不足して受注できない」との声が多い。現役世代の高齢化や引退が進むなか、帝国データバンクでは、今後も正社員の人手不足割合は高水準で推移するとみている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
調査レポート:建設業従事者のAI活用は3割、品質/安全管理でも活用進む アンドパッド調査
アンドパッドが建設業従事者を対象に実施した調査によると、普段の業務でAIを活用している割合は約3割にとどまった。活用目的は業務効率化が中心だが、品質/安全管理分野でも活用が広がりつつある。
調査レポート:「建設2024年問題」後に働き方改革の“成果”はあったか? BuildApp総研がリサーチ
BuildApp総合研究所は、建設産業従事者を対象に、2024年に施行した時間外労働の上限規制から1年以上が経ち、働き方改革の“成果”は現場に届いたかをヒアリングした。結果をみると、人手不足は2024年問題以前よりも深刻さが増していると判明。解消の一手として外国人従業員の受け入れも一定進みつつある一方、在籍の進まない現場はまだまだ多く、受け入れに対する否定的な声も少なからず挙がった。
建設業の人材動向レポート(62):建設業の給与、2024年は0.3%減で足踏み状態 2025年の見通しは?【独自調査】
本連載では、総合人材サービス会社で建設業向けの人材サービスを展開するヒューマンリソシアが、独自に調査した建設業における人材動向を定期レポートとしてお届けする。建設業従事者の人材動向に関する実態を解明し、建設業各社の採用・定着に向けた戦略を考えるうえで少しでもお役に立てれば幸いである。今回は、建設業の給与動向を年齢別や職種別に分析した。
第10回 JAPAN BUILD TOKYO:AI×iPhoneで現場の3D点群化から報告書作成までを効率化、One Technology Japan
現場を3D化した点群データは、工程管理や品質管理、維持管理などに活用できる利点がある。しかし、点群取得やその後の3D化の処理には知識や面倒な作業が必要だった。One Technology Japanの「insightScanX」は、iPhoneの3DスキャンとAI、ARの技術で、工事現場の品質管理や施工管理などを効率化するアプリだ。iPhoneを使った1度の現場スキャンで、点群、簡易的なBIM、平面図、写真などを取得し、3D空間内には不具合の箇所があった場合は位置と写真を付与できる。
調査レポート:共通データ環境(CDE)を有効活用できている企業は3割弱、コストやシステムの複雑さが壁
応用技術は、建設現場の情報共有やデータ管理の実態を調査した。調査結果をみると、共通データ環境(CDE)を導入企業が7割に達する一方、効果的に活用できている企業は3割弱にとどまり、学習コストやシステムの複雑さが定着を妨げている状況が判明した。
調査レポート:建設業の倒産が4年連続増加、2025年は過去10年で最多の2021件 帝国データバンク調査
帝国データバンクの調査によると、2025年に発生した建設業の倒産は前年比6.9%増の2021件となり、2013年以来12年ぶりに2000件を超えた。


