AIで倒木リスクを判定する樹木管理システムの基本開発完了 三井住友建設:AI
三井住友建設は、AI画像解析により倒木や落枝のリスクを自動判定する樹木リスク評価システム「tree AI(ツリーアイ)」の基本システム開発を完了した。
三井住友建設は2025年12月17日、AI画像解析により倒木や落枝のリスクを自動判定する樹木リスク評価システム「tree AI(ツリーアイ)」の基本システム開発が完了したと発表した。危険木のスクリーニングを簡易に行えるため、樹木管理業務の効率化や事故防止に寄与する。
tree AIは、樹木医などの専門家が目視で行ってきた樹木の初期リスク評価をAI画像解析で代替し、危険木のスクリーニングが簡易に行える。インターネットに接続したスマートフォンやタブレットで樹木を撮影。樹木1本当たり数分で評価でき、樹木に関する専門知識を持たない作業者でも大量の樹木のチェックが可能だ。評価結果は自動で地図データと連動したデジタル管理台帳(開発中)に蓄積し、管理の手間を軽減する。
開発初期に茨城県で街路樹を対象とした実証実験を実施した。その後、2025年度の国土交通省「民間提案型官民連携モデリング事業」に選定され、京都府木津川市で導入に向けた調査事業を進めている。さらに宮崎県都城市の「都城市DXチャレンジプロジェクト」にも選定され、実証事業に着手した。現在は20を超える自治体や民間企業から、実証協力や過去の診断データ提供を受け、AI学習用データとして蓄積することで判定精度の向上を図っている。
今回完了した基本システムでは、「樹勢」「樹皮の状態」「キノコ」の3項目を対象に評価機能を開発した。今後は「開口空洞」「枯枝」へ評価対象を拡大し、診断精度の向上を目指す。事業化に向けては、2026年度にデジタル台帳の先行販売を開始し、2027年度にはAIリスク評価システムを組み合わせた製品として提供する計画。
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