配管など工作物の石綿事前調査、2026年1月から有資格者必須に 厚労省が取得呼び掛け:法令動向
2026年1月1日から配管や電気設備など工作物の解体や改修で、専門資格「工作物石綿事前調査者」の取得者による石綿(アスベスト)調査が義務化となる。制度開始まで残り1カ月を切り、厚労省は業界全体への周知と有資格者の確保を急ぐ。
厚生労働省は、工作物の解体や改修工事の2026年1月1日着工分から、有資格者による石綿(アスベスト)の事前調査が必須となることを受け、専門資格の取得を強く推奨する広報キャンペーンを展開。制度開始が迫る中、事業者へ期日までの早急な対応を求めている。
工作物石綿事前調査者の義務化迫る、2026年1月着工分から
石綿障害予防規則(石綿則)の改正に伴い、建築物では既に有資格者による事前調査が義務化されているが、令和8(2026)年1月1日からは特定の「工作物」にも拡大される。対象の工作物は、加熱炉、ボイラー、配管、焼却設備、電気設備(発電、変電、配電、送電設備)などで、建築物とは構造や石綿含有材料が異なるため、専門資格「工作物石綿事前調査者」の取得者による調査が法的に義務化となる。
工作物石綿事前調査者は、工作物の種類や構造、石綿の使用状況に関する専門知識を有し、適切な調査を行うための国家資格。資格取得には、登録されている61機関で工作物石綿事前調査者講習(講義11時間+筆記試験)を受講し、修了する必要がある。これまでの修了者数は2025年9月時点で1万6788人。
トンネルの天井板や煙突、遮音壁などの建築物と一体となった設備は、工作物石綿事前調査者の他、一般建築物石綿含有建材調査者など同等以上の能力を有すると認められる者が行うと定めている。
2026年1月1日の石綿則施行に伴い厚生労働省は、制度開始直前の駆け込み需要による講習の混雑や資格者不足による工事遅延を防ぐため、2025年11月13日からオンライン広告を通じた周知活動を開始した。
石綿は、吸入すると中皮腫や肺がんなどの深刻な健康被害を引き起こす恐れがある。解体や改修工事で石綿の飛散を防ぐには、事前に使用有無を正確に把握することが不可欠。厚労省は、該当する工事を請け負う事業者に対し、期日までの計画的な資格取得を呼び掛けている。
2026年1月以降、有資格者による事前調査が行われていないと法令違反となり、作業に着手できなくなる可能性があり、関係事業者は早急な対応が求められる。
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