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AI活用9%の建設業界に活路 Arentの「アプリ連携型」と「AIブースト戦略」第9回 JAPAN BUILD OSAKA(2/3 ページ)

Arentは、建設業界に特化したDXソリューションを展開する企業だ。2023年には東京証券取引所グロース市場に上場し、建設DXをけん引する存在として注目を集めている。代表取締役社長の鴨林広軌氏は建設DXの本質は「意識せず自然に使えること」とし、建設業で広がらないAI活用に対して、BIMを基盤に対話型生成AIを業務アプリに組み込む独自戦略を打ち出す。

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BIMの真価と国内の課題

 建設DXに欠かせない要素として鴨林氏が挙げるのが「BIM」だ。CADが図面をデジタル化するにとどまるのに対し、BIMは建物を情報の集合体として形成する。柱や壁といった各部材は素材や寸法、価格などの属性情報を持ち、設計から見積、施工、維持管理まで一貫したデータ活用を可能にする。

 しかし国内の現状は、BIMが十分に活用されているとは言いがたいと鴨林氏は指摘。国土交通省の調査でも、多くの企業はプレゼンテーション用途にとどまり、本質的な生産性向上や業務効率化には結びついていないとされている。入力作業も手動が中心で、膨大な工数を要しているのが実情だ。鴨林氏は「BIMをビュワー利用で止めているのはもったいない」とし、設計段階から入力を自動化し、施工や維持管理でデータを生かす重要性を訴えた。

BIMを導入することと、BIMを活用することの違い
BIMを導入することと、BIMを活用することの違い 提供:Arent
Arentが目指す、BIMと連携する自動化SaaS
Arentが目指す、BIMと連携する自動化SaaS 提供:Arent

建設業界とAI 現状の遅れと可能性

 鴨林氏は、建設業界でのAI活用の遅れにも触れた。帝国データバンクの調査によれば、建設/不動産業界で生成AIを活用している企業はわずか9%で、他業界と比較しても著しく低い数字となった。

建設/不動産業界は、他業界と比較してAIが活用されていない
建設/不動産業界は、他業界と比較してAIが活用されていない 提供:Arent

 「AIは単体で導入するだけでは業務に浸透しない。重要なのはアプリの中にAIを組み込み、ユーザーが意識せず使えるようにすることだ」と鴨林氏は話す。ChatGPTのような汎用AIは便利だが、多くの現場では業務に定着していない。アプリ内部にAIを組み込み、既存業務の流れの中で自然に機能する環境こそが求められている。

アプリにAIを実装し、蓄積されたノウハウを活用する
アプリにAIを実装し、蓄積されたノウハウを活用する 提供:Arent

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