CO2約200キロを道路に固定、茨城県鹿嶋市の市道で出光興産と日本道路が実証:カーボンニュートラル
日本道路と出光興産は、茨城県鹿嶋市の市道で、排ガス由来のCO2を固定化した合成炭酸カルシウム「カルカーボ」配合のアスファルト舗装の実証施工を行った。カルカーボ約1トンを用い、200キロのCO2を道路に固定化した。
日本道路と出光興産は2025年9月11日、茨城県鹿嶋市の市道で、排ガス中のCO2を固定化した合成炭酸カルシウム「カルカーボ」(出光興産)配合のアスファルト舗装の実証施工を実施した。舗装材に約1トンのカルカーボを使用し、約200キロのCO2を道路に固定化した。
今回の検証は鹿嶋市の市道0201号線で実施した。老朽化でひび割れや凹凸が見られる一部区間約400平方メートルの区間のうち半分をカルカーボを配合したアスファルト舗装材、残り半分を通常の舗装材で施工した。
カルカーボは、ボイラー排ガス中のCO2と、コンクリート製品製造工場で発生するコンクリートスラッジに含まれるカルシウムを合成するカーボンリサイクル技術により製造。通常、アスファルト舗装材のフィラーとして使用している粉砕石灰石の代替品として活用することで、道路へのCO2固定化と廃棄物の有効活用を両立できる。
両社は今後、カルカーボの施工実績の拡大を図っていく。
出光興産の道路維持管理サービスを活用
出光興産は2024年3月に千葉事業所内、2025年7月に北海道製油所内で、カルカーボ配合アスファルト舗装材の試験舗装を実施してきた。また、2023年6月には鹿嶋市とインフラ管理のDXによる道路維持管理業務の効率化に向けた契約を締結している。鹿嶋市との契約は、出光グループの製品配送車両とAIによる道路損傷検知技術を活用した道路維持管理サービスの導入により、道路維持管理の最適化を図るもの。今回の舗装施工は、出光興産の道路維持管理サービスを活用して、道路の損傷検知の領域から補修領域につなげた初めての案件だという。
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