フジタや筑波大ら、複数建機が協調する「自動施工」公開 土工プロセスの“一気通貫システム”構築:建機自動化(2/3 ページ)
国交省は、「施工」「データ連携」「施工管理」の3つのオートメーション化で、2040年度までに生産性1.5倍を掲げる施策「i-Construction 2.0」を進めている。筑波大学、土木研究所、九州大学、フジタらは、自動化が進んでいない「土工」を対象に、施工計画の作成から、掘削〜締固めの実施工までの一気通貫の革新的システムを構築した。このうち実施工では、メーカを限定しない複数建機の連携や建機を制御する信号の共通化で、土工の自動施工を実現した。
3台の自動建機が協調して模擬施工
公開実験は、土木研究所と国土技術政策総合研究所が保有する建設DX実験フィールドの模擬土工現場で行った。3台の建機が協調して、掘削→積込→運搬→放土→敷き均しのプロセスで模擬施工した。具体的な手順は以下の2ステップ。
1.施工計画:監督者が日々の施工計画をCAD上で策定。情報流通インタフェースを通じ、建機の制御システムに伝える(開発担当:九州大学 三谷研/筑波大学)。
2.複数建機の協調動作:システム側は、情報流通インタフェースを通じて得た日々の施工計画に基づき、複数台建機の協調作業を行う(開発担当:九州大学 倉爪研)。
模擬施工の内容は以下の通り。共通制御信号への対応では、複数台建機の制御制御ソフトウェアを活用した(開発担当:土木研/フジタ)。
・日立建機製の油圧ショベルによる土砂の掘削。土の山の形状やダンプ荷台の姿勢は、周辺に配置したLiDARセンサー5基で計測している。どのあたりを掘るべきかの指示をシステムが与え、具体的に「どの部分をどう掘るか」といった詳細の動作計画はバックホウ側で処理して掘削する。
・諸岡製のクローラキャリアダンプへの積込み。2台のキャリアダンプはどちらも諸岡製だが、フジタと土木研究所がそれぞれ所有しているもので年代も異なるが、同じ共通制御信号で動かせる。
・指定された位置への自動運搬と放土。クローラキャリアダンプ2台が狭い工事用道路で互いに譲り合いながら走行する動作も実演した。
・ブルドーザーによる敷き均し。今回の実験では敷き均しのブルドーザーは遠隔操縦で動かしたが、それ以外の掘削から、積込み、運搬、放土は全て自動で行った。
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