清水建設がCIMクラウド「KOLC+」を土木で全国展開 東京外環工事などでデジタルツインの情報共有:CIM(2/2 ページ)
清水建設は、BIM/CIMモデルや点群をクラウド上で統合して共有できる「KOLC+」を土木部門で全社展開することを決めた。これまでに東京外環の京葉ジャンクションや鶴ヶ峰駅付近の地下化などに導入し、CIMや点群を統合した3Dモデルによる情報共有で、「施工管理のデジタル化」を実現した実績が決め手になったという。
CIMと点群の統合デジタルツインで、発注者と有意義な定例会議が実現
また、別の導入現場の東京外環自動車道のフルジャンクション化工事では、ランプ8本のうち6本が供用中で近接する構造物や埋設管もあり、厳密な管理が求められている。プロジェクトの安全や品質などの課題に対し、関係者間の意思疎通や情報共有を円滑に行うためにKOLC+を採用した。
発注者との定例会議で統合アプリを活用した工程説明を行うと、従来と比較して現場の全体像がつかみ易く、過去の工事実積の把握や将来の現場状況のイメージが容易にできるようになり、導入前よりも議論が活性化した。現在は、BIM/CIMモデルに点群データや属性情報を出来形、または管理書類として付与したり、外部参照のフォルダリンクで工事記録として残したりする取り組みも試行している。
土木企画室 DX戦略部 デジタルコンストラクショングループ長はKOLC+について、「さまざまな構造物や地形を3Dモデルや点群データで再現し、共通座標を与えてKOLC+上で統合することで、Webブラウザ上でデータ共有ができる。さらにセンサーやカメラといった現場をモニタリングしているデバイスと連携させ、施工現場のデジタルツインを構成できることも特長だ。3Dモデルがあるだけでは実現出来ない、施工管理のデジタル化を実現するための欠かせないツールになっている。全国展開を通じて、土木部門のDXを実現していく」とコメントを寄せる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
第7回 国際 建設・測量展:“歩くだけ”で空間を丸ごとデジタル化 構造計画研究所が高性能3Dレーザースキャナーを出展
構造計画研究所は、現場を手軽に3Dデータ化する新しい機器として、歩くだけで高精細な点群データを取得できるNavVis製の最新3Dレーザースキャナー「NavVis VLX3」と「NavVis MLX」を提案する。ドイツ発のモバイルマッピング技術は、精度と操作性を両立し、測量のスピードと効率を一気に引き上げる。産業動向:ICT施工、6割が「取り組んでいる」 BIM/CIM活用工事は発注は限定的 全建調査
全国建設業協会は全国の会員企業を対象に実施した「生産性向上の取り組みに関するアンケート」の結果を公表した。ICT施工の取り組みが中小企業にも広がる一方、BIM/CIM活用が進んでいないことなどが分かった。“土木×AI”で起きる建設現場のパラダイムシフト(34):八潮の道路陥没事故はAI活用で防げたか? “予防保全”を実現する土木学会の最新研究【土木×AI第34回】
八潮市で起きた事故を筆頭に、全国で道路陥没が多発しています。国交省ではインフラの維持管理に対し、従来の不具合が起きた後に対処する“事後保全”から、事前の定期点検や修繕で長寿命化を図る“予防保全”への転換を進めています。そこで今回は、道路陥没を未然に防ぐ予防保全を可能にするAIの最新研究を紹介します。建設DX研究所と探る「建設DX最前線」(3):労働人口の減少が迫る建設業界で広がる映像DX【セーフィー解説】
建設DXの推進を目的に建設テック企業が中心となり、2023年1月に発足した任意団体「建設DX研究所」。本連載では、建設DX研究所のメンバー各社が取り組む、建設DXの事例や技術開発について詳しく解説していきます。今回は、セーフィーが提供する映像による建設DXについて紹介します。xR:360度写真上に3Dモデルを配置、きもとの建築現場の可視化ツール
きもとは、エイト日本技術開発と共同開発した建築現場の可視化ツール「Eye-Con360」の提供を開始した。360度カメラで撮影した現場写真上に、3DCADで作成した構造物などのモデルを配置して検討できる。“土木×AI”で起きる建設現場のパラダイムシフト(33):AIが“快/不快”の感情で景観を評価 インフラ整備前の社会調査にAIを活用【土木×AI第33回】
連載第33回は、道路の交通量調査など、インフラ整備前によく実施されている社会調査に、LLMや深層学習などを活用した土木学会の論文を解説します。