フル電動クレーンを屋内から操作デモ タダノが竹中工務店やアルモと実用化:第7回 国際 建設・測量展(2/2 ページ)
タダノは、バッテリーを動力源としたフル電動のラフテレーンクレーンを2023年12月に世界に先駆けて実用化したメーカー。電動ラフタークレーンは、日本を起点に、北米、欧州、豪州へと、グローバルで建機の脱炭素化を展開している。CSPI-EXPO2025では、環境対応をさらに進め、竹中工務店などと本格運用を目指す、まだ日本にはない移動式クレーン遠隔操作技術を披露した。
海外製のフル電動製品を参考出品
今展では、従来のクレーンとは一線を画す、見た目がユニークな海外製品も展示した。参考出品したValla製の電動ピック&キャリークレーン「Valla V180R」は、電動自走式クレーン。最大吊(つ)り上げ荷重18トンで、コンパクトな車体や吊上げ性能は屋内の重量物作業で重宝されるだろう。
OIL & STEELの「Octoplus 21」は、エンジンとプラグインで作動する最大地上高18.7メートルの屈伸ブーム型バイブリッド式高所作業車。コンパクトな約1.5メートルの車体幅で建築中の現場を移動する。移動時の車体幅は約1.5メートルしかなく、建築中の現場を柔軟に移動する。キャタピラーで移動するが、ブームを伸ばして高所作業を行う際には、脚を大きく伸ばし高い安定性を得る。
日本では、いわゆる“カニクレーン”と呼ばれるタイプのクレーンは多い。しかし、山本氏は「高所作業が可能なバケットが付いたものは、日本ではまだ発売されていない。そのため、脚を大きく広げる珍しいスタイルに、足を止めて見入る業界関係者が多い」と語る。
両社はいずれも米国でLE(Lifting Equipment:抗重力/空間作業機械)と建機レンタルの事業を展開しているManitex(マニテックス)グループで、タダノは2025年1月2日付でManitex Internationalを完全子会社化している(出典:タダノプレスリリース「Manitex International, Inc.社の買収完了(完全子会社化)に関するお知らせ」)。
タダノでは事業の3本柱となっている「建設用クレーン」「車両搭載型クレーン」「高所作業車」の観点で、Manitexが加わることで車両搭載型クレーンや高所作業車のグローバルビジネス拡大につながり、事業構成比のバランスが取れると期待を寄せている。
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