「紙の台帳にサヨナラ」スマホで街灯を予防保全、パナソニック EW社の現場点検DXが愛媛全域で展開へ:スマートメンテナンス(2/3 ページ)
老朽化が進むインフラ設備を誰でも、どこでも、すぐに点検できる未来へ――。パナソニック エレクトリックワークス社とアルビトの共創で誕生したスマホアプリ「LD-Map」が、愛媛県新居浜市でインフラ点検のデジタルツールとして採用された。これまで人員不足や有効な点検管理ツールがなく実現できていなかった「予防保全」が現場完結型の点検DXで実現する。
「誰でもできる」を体現したスマホ点検
デモの舞台となったのは、愛媛県新居浜市大生院地区だ。パナソニック EW社の立花徹氏と、新居浜市の松木太郎氏がLD-Mapの操作を実演した。
LD-Mapの利用手順は、まず支柱に記された識別番号をスマートフォンで撮影し、対象物とアプリ上の地図情報とを照合する。次に設置面の左右と支柱、灯具など、スマホアプリの指示に従って、写真を撮影すれば点検は完了する。松木氏は「スマホの操作に長けているわけではない」と前置きしながらも、ガイドの指示に従い、迷うことなく一連の点検作業を終えた。
今回の点検では、「灯部に異常なし」「水たまりや破損も見当たらず」「設置部にサビはあるが基準内」「植栽に覆われていない」など、全て問題なしと判断された。
点検結果は、ボタン1つでクラウドに保存され、「誰が、いつ、どの場所を点検したか」が即座に写真付きの点検履歴として残る。経年劣化の比較が可能で、適切な改修時期の判断に役立つ。
松木氏は「紙の台帳に手書きしていた頃と比べ、作業時間が半分以下に短縮する」と語る。これまではインフラに精通した技術系職員が劣化度を診断していたが、LD-Mapを使用すれば、知見や経験がない職員でも、AI画像解析が劣化度合いを色分けで可視化するので点検業務を担当できるようになる。AIは既存モデルをベースに解析処理し、その結果をもとにパラメーターをチューニングするため、大量の学習データを用いずとも、劣化箇所の特定や劣化判定の精度向上が見込める。
実証で使用した端末は4台。そのうち2台が新居浜市に貸与されており、今後もパナソニック EW社の担当者とともに、市内各所で運用を進める。
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