10時間1000kmを飛行するドローン「TERRA Dolphin VTOL」 用途別にエンジン換装可:Japan Drone 2025(2/2 ページ)
2011年の東日本大震災をきっかけに設立したテラ・ラボ。代表取締役の松浦孝英氏は、災害発生時の情報が錯綜した混乱状況を経験したことで、最新のテクノロジー活用で防災/減災を強化することを目指している。
10時間もの長時間連続飛行が可能なVTOL機
TERRA Dolphin VTOLは、全幅4.3メートル、全長2.9メートルのドローンだ。20キロのペイロード性能を備え、航続時間10時間/航続距離1000キロの飛行を実現する機体として設計している。
TERRA Dolphin VTOLの最高速度は時速250キロで、災害現場まで高速で駆け付け、被災地では低速で被災状況の調査を行うなど、速度調整にも優れる。高い飛行性能を支えるのは、モーターとエンジンを組み合わせだ。VTOL機を含め、一般的なドローンはバッテリーとモーターで構成している機種が多い。ドローン飛行では、複数のプロペラを細かくコントロールする必要があり、プロペラ駆動は細かな制御が可能なモーターで行う。
しかし、ドローン用の大きなモーターは、消費する電力も大きいため、大型機体を長時間飛行させるには大量のバッテリーが必須になる。問題はバッテリーが重いことだ。
そこでTERRA Dolphin VTOLでは、離着陸時にモーターを使い、飛行にはエンジンを使う機構とした。モーターは機体の浮上と着陸時に限定して使うので、多くのバッテリーを搭載する必要がない。エンジン稼働には燃料が必要だが、バッテリーに比べて重さを大幅に抑えられ、その分物資の積載量を増やせる。
テラ・ラボは、もともとTERRA Dolphinシリーズを災害対応をメインとしながら、多目的用途で活用できる「マルチパーパスプラットフォーム」の思想の下で開発している。その思想を受け継いだTERRA Dolphin VTOLは、ブース展示したレシプロエンジン搭載モデル以外に、ジェットエンジンなどへの換装も可能で、目的によりマッチする推進装置を選択できる。また、基本は機体上4カ所のローターで垂直離着陸するが、取り外して固定翼機としての使用も想定している。
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