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災害救援に特化したエアロセンスの国産VTOL機、前後に主翼の“タンデム翼”採用Japan Drone 2025(1/2 ページ)

エアロセンスは、国産ドローン初の垂直離発着(VTOL)機を開発した機体メーカーとして、測量や監視、災害後の被災地確認などの用途で機体と関連システムを数多く開発してきた。「Japan Drone 2025」ではレベル4飛行に対応し、前後に主翼を持つ“タンデム翼”のVTOL機「AS-H1」を披露した。航続距離は最長250キロで、最大13キロまでの救援物資を空輸できる。

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 エアロセンスは、今回で10回目の開催となるドローン展示会「Japan Drone 2025/第4回次世代エアモビリティEXPO 2025」(会期:2025年6月4〜6日、幕張メッセ)で、災害救援用の新型VTOL機「AS-H1」を出品した。

 AS-H1は、災害発生後に支援品を緊急で送り届けられる機体。VTOL機なので滑走路不要で離着陸し、高速で長距離を飛行する。従来機に比べ、積載可能量となるペイロードを13キロまでに強化した。

大型VTOL機「AS-H1」。写真では分かりにくいが、全幅3.9×全長2.7×全高1.0メートルの大きさ。前後に主翼を持つ“タンデム翼”が特徴
大型VTOL機「AS-H1」。写真では分かりにくいが、全幅3.9×全長2.7×全高1.0メートルの大きさ。前後に主翼を持つ“タンデム翼”が特徴 写真は全て筆者撮影

救援物質の輸送が可能な最大ペイロード13キロを実現

 エアロセンスは、国産機初のVTOL機「AS-VT01」を発売したメーカーとして知られている。最長50キロ、最高時速100キロの高速飛行を実現したAS-VT01は、2020年に市場投入し、2023年には国土交通省のNETISに登録された(現在は生産終了)。

 後継の「AS-VT01K」は2024年に国土交通省の「第二種型式認証」を取得し、レベル3.5の飛行で目視外飛行の事前申請が不要な機体だ。

 しかし、従来機はVTOLの特性上、横風に弱かった。その点、AS-H1は、VTOL機の問題点を改善した機体となる。最大13キロのペイロードは、カメラやセンサーだけでなく、薬品や食料といった救援物資も積める。災害発生時には、現地の被災者に必要な物資を短時間で届けられる。

エアロセンスのブース全景。AS-H1に関するプレゼンには多くの来場者が集い、関心の高さがうかがえた
エアロセンスのブース全景。AS-H1に関するプレゼンには多くの来場者が集い、関心の高さがうかがえた

 AS-H1の全幅は3.9メートル。2年前の計画段階では、5.3メートルを予定していた。コンパクトな機体に再設計したのは、一刻を争う災害救援で大型機体は使いにくく、展開に時間が掛かるからだ。

 ただ、翼を小型化すると重い荷物を積めなくなる。解決のために、AS-H1は前後に主翼を設けた“タンデム翼”を採用した。毎秒20メートルの強風(巡航時)に耐える機体強度とし、重い荷物の積み下ろしでも人が作業しやすいように配慮するなど、設計面でさまざまな工夫を凝らしている。

前後の翼は取り外し可能で、コンパクトに保管や運搬ができる
前後の翼は取り外し可能で、コンパクトに保管や運搬ができる

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