建設DXへの期待感と、実現に不可欠な施工・経営情報の一元管理【アンドパッド解説】:建設DX研究所と探る「建設DX最前線」(2)(2/2 ページ)
建設DXの推進を目的に建設テック企業が中心となり、2023年1月に発足した任意団体「建設DX研究所」。今回は、建設DX研究所の事務局も務めるアンドパッドが、中小建設事業者の働き方改革や課題解決につながる建設DXの重要性と施工・経営情報の一元管理の必要性について、施工管理ツールの活用事例も交えながら紹介します。
先進的な建設DXの事例
こうした建設DXへの期待が高まる中、成功事例も多く出てきています。中小建設事業者にとっては、他社の建設DXの事例を収集し、自社に適した建設DXを導入していくことが非常に重要です。
アンドパッドは、現場の効率化から経営改善まで一元管理できるクラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」の開発や提供を通し、業界全体のDXを支援しています。現場と経営に必要な情報を一元管理できるANDPADは、工事情報とそれに関わるコミュニケーションの一元管理から、受発注/請求情報など会社全体の経営管理DXまで豊富な機能を備えています。
例えば、業務プロセスのデジタル化やリアルタイムな情報共有で、アナログ業務の効率化や現場と事務所双方での業務負担を軽減します。営業進捗から売上や原価など、経営を支える情報も可視化して、収益性の向上にも寄与します。このように、施工・経営情報の一元管理で、経営から現場まで、業務にまつわる情報をリアルタイムに可視化/共有し、業務全体の効率化や迅速で的確な意思決定が可能になります。
総合建設業では、検査用紙のまとめ作業時間を80%削減
或る総合建設業者では、是正事項の対応や検査用紙の作成に多くの手間がかかっていました。
ANDPADを導入し、協力会社ごとに是正箇所を記録したダメ帳の作成をデジタル化し、検査用紙のまとめ作業にかかる時間を約80%削減しました。さらに、検査時の写真撮影と同時に、写真に文字を書き込むこともでき、状況確認や報告、相談のスピードも向上したとの感想も届いています。
設備工事業では、事務所滞在時間50%削減に
設備工事やビルメンテナンスに従事する事業者では、紙やホワイトボードで予定管理していたため、確認のために毎回事務所へ戻っていました。
ANDPADボードの導入により、全社員でリアルタイムに予定共有が可能となり、帰社せずに確認できる体制を構築しました。その結果、事務所の滞在時間を50%削減する効果が得られました。作業効率も向上し、情報確認や対応漏れの防止にもつながり、現場中心の業務で時間の有効活用と業務改善を実現しています。
外装リフォームでは「引合粗利管理」や「受発注」機能で営業管理を改善
外装リフォームに特化した専門工事業者では、案件増加に伴い、工程管理や見積もり業務が煩雑化し、業務効率と顧客対応の両面で課題を抱えていました。
ANDPAD導入で、施工管理、引合粗利管理、受発注を一元化し、表計算ソフトや個別のツールで分散していた業務を一本化。見積作成時点で原価や粗利を即時に把握できるようになり、契約率が向上した他、顧客対応もスムーズになりました。
建設DXの重要性と施工・経営情報の一元管理の必要性
さまざまな建設DXのソリューションによって、業界における業務効率化と労働環境の改善が進んでおり、現場でのDX導入の成果が現れ始めています。業務プロセスのデジタル化やリアルタイムな情報共有、売上や原価などの経営指標の可視化といった手段を通し、業務全体の効率化や迅速で的確な意思決定が可能となり、持続可能な業務運営が期待されます。
こうしたDXを実現するためには、施工・経営情報の一元管理が必要不可欠です。アンドパッドでは、現場の効率化から経営改善まで一元管理できるクラウド型建設プロジェクト管理サービスANDPADの提供で、これからも建設業界全体の生産性向上に向けたより広範な支援活動に取り組んでいきます。
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