千葉マリンの新球場構想 650億円と民間投資で幕張メッセ駐車場に2034年開業目指す:プロジェクト
千葉マリンスタジアムの新スタジアム構想案が公表された。幕張メッセ駐車場に屋外型球場を新設する計画で、施設整備費は公的資金と民間資金で650億円を見込む。海に近い立地を生かしたスポーツ施設に留まらず、市民が日常的に利用できる公共施設の機能と民間事業者の投資による商業/エンタメ機能を融合させる。
千葉市は2025年5月22日、千葉マリンスタジアムを再生する構想案を明らかにした。幕張メッセ駐車場に屋外型球場として、2034年頃の開業を目指す。事業費は駐車場代替費なども合算すると約650億円で、それ以外に民間からの資金調達による商業やエンタテイメントの機能も導入し、365日楽しめる施設を計画する。
2026年までに事業実施を判断
1992年から千葉ロッテマリーンズの本拠地になった千葉マリンスタジアムは、1990年の竣工から35年が経過し、躯体部分などの老朽化とともに機能面での更新が必要となっていた。現施設での大規模改修ではプロ野球の開催を考慮すると10年かかり、改修後にも15年ほどしか使えないとの試算があったため、新たに建設することとなった。
市は幕張メッセ駐車場を計画地とした理由について、約11ヘクタールの十分な敷地があり、2023年に開業した「幕張豊砂」駅から約500メートルの立地でもあり、幕張メッセやJFA夢フィールドなど周辺施設との連携で幕張新都心の活力を最大限に引き出せる点を挙げる。
ドーム型ではなく現行の球場と同じ屋外型スタジアムとするのは、海が近い地域資源を生かし、「海」「風」「空」を感じられる施設としたい意向がある。また、市税を投入する上でコスト抑制に加え、既存の幕張メッセ、幕張海浜公園で検討中のアルティーリ千葉新アリーナとのイベント開催の棲み分けにも配慮した。
スタジアムの機能では、収容人数は1割程度の拡張となる3.3万人前後で、観客席上部に屋根、グラウンドは人工芝、スタジアムに接続する市民利用も可能な屋内練習場を整備する。さらに民間事業者の投資も呼び込み、商業やエンタテインメントの空間、ホテル、広場なども計画。運営は民間事業者による独立採算で、施設使用料などの一部を市の財源に充当する。
他の機能では、災害時にトイレやシャワー、マンホールトイレなどの一時受け入れ体制や物資集積が可能な防災機能、設備では高効率空調機器や省エネルギー効果の高い照明機器、再生可能エネルギーなども採用する。また、周辺施設との回遊性の向上や歩車分離の観点で、民間提案による2階高さでの周遊デッキも整備する。
概算事業費は、スタジアム整備費で約600億円、外構費や幕張メッセ駐車場の代替機能確保、道路改良費で約50億円。現スタジアムの解体費は含まない。さらに官民連携プロジェクトとして、650億円以外に民間からの投資も募集し、市民も使える球場の公共施設と民間施設の機能を融合させる。
今後のスケジュールは、2025年6月にサウンディング型市場調査を実施し、同年7月にパブリックコメントを募り、同年8月に基本構想を策定する。その後、2026年頃までに事業協力者の決定と基本計画の検討、2027〜2033年に事業者選定や基本設計と実施設計を経て着工し、2034年頃のオープンを目標とする。
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