アシストスーツで“あと5年”働ける現場に 「アシストスーツ協会」8社のモデルを着用体験:メンテナンス・レジリエンスTOKYO2024(2/2 ページ)
少子高齢化で労働力不足が深刻化する日本で、現場を支える有効なサポートギアとして期待される「アシストスーツ」。「第11回 労働安全衛生展」では、アシストスーツの認知度向上や市場形成を目的に2022年に発足した「アシストスーツ協会」が出展し、8社の最新モデルを着用できる展示が好評を博した。
2タイプに分かれるアシストスーツ
展示されたアシストスーツは大きく2つのタイプに分けられる。「外骨格タイプ」は、身体の外側にフレームを装着することで、構造的に動作を支える高サポート型のアシストスーツだ。アルケリス「archelis」、レイボ(アジア地域総代理店加地)「laevo」、イノフィス「MUSCLE SUIT(マッスルスーツ)」、ダイドー「TASK(タスク) AR」の4製品が該当する。

左は立ち仕事による足腰への負担を軽減するアルケリス「archelis FX」で、カーボン素材を採用した軽量化モデル。右はオランダ生まれのアシストスーツ「laevo exoskeletons(レイボ エクソスケルトン)」。左右のストラクチャーが前屈作業時の腰や肩の負担を分散
左はイノフィスが日本シグマックスと共同開発した「MUSCLE SUIT Exo-Power(エクソパワー)」。最大補助力27kgf(キログラムフォース)で、腰の負担をサポート。建設だけでなく、介護や農作業の現場で、作業者を強力にサポート。右はJR東海と共同開発したダイドーの上腕アシストスーツ「TASK AR Type S+」もう一方のタイプは「サポータータイプ」。衣類のように軽く装着でき、柔軟性と動きやすさが特長のタイプで、ダイヤ工業「DARWING(ダーウィン)」、Asahicho(アサヒチョウ)「e.z.UP」、日本シグマックス「MEDIAID Workers Care(メディエイド・ワーカーズケア)」、倉敷紡績「CBW」の4製品があたる。

左はメッシュ素材で作業による腰痛を防ぐ日本シグマックスの「MEDIAID Workers Care」。右は前屈姿勢や立ち姿勢、持ち上げ姿勢や腰、膝の曲げ伸ばし動作をサポートする倉敷紡績「CBW」。装着性が高く、着たままでも休憩できるブース責任者は「外骨格タイプとサポータータイプでは、構造も使用感もまったく異なる。用途や現場環境によって、どのタイプが適しているか、さまざまなタイプを実際に着用してみて、自分たちの業務に適する製品を見極めてもらいたい」と要望した。
年間50回以上の体験イベントで着実に普及
アシストスーツ協会では、今展以外にも体験イベントによる普及活動を積極的に展開中だ。年間で全国50回以上のイベントを実施しており、企業の社内研修や自治体職員へのデモンストレーションなどを通じて、現場での具体的な導入をサポートしている。
ブース責任者は、こうした活動を通じて、厚生労働省や国土交通省などの官公庁からの関心も高まっており、協会としての発信力や影響力は着実に広がっていると手応えを語る。「国としても、少子高齢化が進む中で、今いる労働者があと5年長く現場で働ける環境づくりをすることが重要なテーマとなっている」(ブース責任者)。
今後は、内閣府をはじめとした政府機関と連携しながら、アシストスーツの制度的な位置付けを明確化し、国全体での活用を促進していく構えだ。また、協会として、「製品選定の基準づくり」や「性能評価の標準化」といった取り組みも同時に進めていく予定だという。
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