平山建設が協力会社も含む建設DXで、ネクストフィールドやNTT東日本と協業:産業動向
平山建設は、ネクストフィールドやNTT東日本と協力し、協力会社も含め、DXを活用した理想的な地方建設会社のモデル構築に取り組んでいる。
平山建設は2025年2月14日、ネクストフィールドや日本電信電話(NTT東日本)と協力し、DXの取り組みを協力会社にも展開することで、地域の建設会社として建設現場全体の業務効率化や生産性、安全性の向上を目指していると公表した。
ユーザーインタフェースの見直しと工程管理などとの一体化
現在の建設産業は、建設作業従事者の高齢化、若手就業者不足が続き、地域では後継者不足も加わり、中長期的な社会インフラ整備の品質確保などが大きな課題となっている。
こうした課題を軽減する手段の一つで、DX導入が急速に進んではいるものの、ICTに関わるスキルやノウハウ不足、建設現場といった複数の会社が協力しあう環境下では、DXの浸透は高いハードルとなっているのが実情だ。
そこで、平山建設とネクストフィールド、NTT東日本の3社は相互連携。各社が推進する業務効率化や生産性/安全性の向上、現場作業者の高齢化解消に向けた魅力ある職場づくりなど働き方改革の実現を目指している。
3社連携の成果として平山建設は、図面や工程表、搬入出予定などをクラウド化して共有できる協力業者向けの現場専用Webページ「現場サイト」を協力会社にも展開。Google WorkspaceのGoogleサイトを用い、協力会社向けの現場サイトを作成して活用を推進している。その結果、現場全体で元請と協力会社の双方の工程管理や書類管理などの業務効率化と情報共有の強化につながり、生産性が向上した。
ネクストフィールドは、現場サイトの工程表などの施工管理情報を建設現場全体で共有するため、建設ダッシュボード「e-Stand」を活用して、タッチ式大型デジタルサイネージに投影。協力会社の利用や動画による新規入場者教育にも使えるように、現場で直接サポートした。
NTT東日本は、主に故障修理の現場向けの危険予知活動DXツール「ボイスKYシステム」のノウハウを基に、建設業界の標準である「リスクアセスメントKY」に対応した「DigiFeeX」を開発して導入。「元請からの連絡事項」「出面確認」「職長によるKY(危険予知)」といった新機能を搭載している。
2023年7月から2024年6月にかけ、千葉県内で建設中の一部建物でトライアルを実施。平山建設の協力会社を含めた建設現場の従事者全員に向けて、DX推進プロジェクトを展開した。
3社は今後も、写真管理アプリやカメラといったさまざまなアプリケーションと連携を進めるなど、各種DXツールの開発や機能改善を図りながら、他の建設現場への展開も計画している。
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