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「建設DXは約5割が初期段階。人材不足が最大の障壁に」Arentが実態を調査:調査レポート(2/2 ページ)
Arentは、建設DXに関する実態を調査した。調査結果によると、建設DXの実施状況は5割以上が「実施中」と回答。最も多い取り組み内容は4割弱が「BIM活用」で、DXを阻む課題となっているのは「人材不足」「技術的な課題」「ノウハウがない」が挙がった。
DX推進の課題では、最多回答は「人材不足」で18.9%。その次が「技術的な課題」で15.7%、「ノウハウがない」の14.3%も含めると、技術と知識の課題も挙げられている。また、「組織文化」は12.3%で、変革に対する内部抵抗も推進の妨げとなっている。
社内システムの課題で多かったのは、「データが整理されていない」で23.2%。「データ連携が困難」は21.6%、「技術や性能に限界がある」は12.8%となり、データ管理と連携の改善が重要とみなされている。
DX人材についての問いでは、「DX人材不足」と回答した企業は83.1%と高い割合を占めた。社内に十分なDX人材がいると回答した企業は8.4%にとどまった。外部から人材を採用している企業も同様に8.4%で、内部育成と外部採用の両方で課題がある。
前回調査では「DX人材不足」が77%だったため、問題の深刻さがさらに増している可能性がある。
調査結果を受け、Arentは「DX推進には現場と組織全体の連携が不可欠であり、特に人材の育成と確保が成功の鍵を握ることが明らかになった。また、データ連携や技術的課題の解決は、「DXの効果を最大限に引き出すための重要な要素として浮き彫りになっている。こうした課題に対処するため、企業全体で戦略的な取り組みが求められる」と分析している。
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