大和ハウスグループがデジタル帳票基盤「SPAIS」導入 電帳法対応やペーパーレス化で:建設バックオフィス業務
大和ハウス工業は、ウイングアーク1stの統合基盤ソリューション「SPAIS」を導入した。電帳法対応を含むデジタル帳票基盤を構築し、紙ベースからの帳票運用から脱却し、バックオフィス業務の効率化を実現。同時に本社とグループ会社を含めた31社で、共通の統合管理体制を構築し、システム運用負荷も軽減した。
ウイングアーク1stは2025年2月10日、統合基盤ソリューション「SPAIS(スパイス)」を大和ハウス工業が導入したと公表した。
大和ハウス工業は、SPAISを核とした電帳法対応を含むデジタル帳票基盤を構築し、2023年10月に本社とグループ会社を含めた31社で運用を開始した。
紙文化からの脱却で建設バックオフィス業務を効率化
SPAISは、ウイングアーク1stが提供している各サーバ製品(SVF、RDE、invoiceAgent、Dr.Sum)への処理、各サーバ製品が持つアクセス権を統合管理する基盤。今まで各サーバー製品を管理するために業務アプリ側で個別に構築していた仕組みを省略化でき、業務アプリはSPAISが提供するWebAPIを利用して文書(PDFファイル)や帳票データ(CSVファイル)で処理する。
もともと大和ハウス工業は、DX戦略の一環で「バックオフィスのデジタル化」を推進しており、紙帳票による運用が根強く残る建設業界で高まるデジタル化のニーズに応えるべく、グループ会社の共通基盤として電子帳簿保存法(電帳法)に対応し、幅広い業務で紙帳票の電子化と保管を可能にするデジタル帳票基盤の構築を検討していた。
SPAISの決め手については、電帳法対応や複数のWeb APIによる各社の会計システムとの連携、業務システムで文書のアーカイブや属性情報の更新、統合権限管理、データの長期保存、グループ会社で利用しやすいオンプレミスの料金体系などを理由として挙げる。
大和ハウス工業は、導入決定からわずか9カ月でSPAISを基盤としたデジタル帳票基盤を構築。グループ共通データベース、共有の基幹システム、各社の個別システムを自動連携させ、経理データや契約書など帳票データ約30種類の自動連携と統合的な管理運用の体制が整った。
ペーパレス化では、経理データの他、契約書など約30種類の帳票管理、運用のデジタル化で検索性や利便性が向上。運用負荷の軽減では統合管理により、電帳法対応を含むグループ各社のシステムの運用/保守から解放され、大和ハウスグループのITを担うメディアテックの業務負荷も軽減した。
さらに人事データ自動連携では、人事情報や権限、パスワードなどの人事データとの連携で、人事異動の際にルールに沿って自動的に権限が変更される仕組みも開発した。
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