Box JapanのFY22は“絶好調”、ホワイトボードや電子署名で日本市場に注力:ニューノーマルを勝ち抜く事業戦略(1/3 ページ)
BoxはFY23の戦略説明会を開催し、そのなかで、「ワークスタイルの変化」「デジタルファーストへの移行」「サイバーセキュリティ対策」の3つのトレンドに応じた、今後の方向性を示す各種アップデートを示した。新機能では、2022年1月に施行した電帳法に対応する電子署名やテレワークが浸透したことを受けたクラウド上での仮想ホワイトボードなどを搭載する。
クラウドストレージ大手のBoxは2022年4月に、FY23(2022年2月〜2023年1月期)の戦略説明会を開催した。
Boxは、現在約11万社の顧客を持ち、フォーチュン500のうち67%ものユーザー企業がいる。日本でも、建設機械大手の小松製作所(コマツ)や日本郵政をはじめ、多くの企業がBoxを導入。日経225では63%の企業が利用し、その割合は2021年度よりも確実に増加している。
Boxのこの勢いを支えるのが、“コンテンツクラウド”に代表されるブランドメッセージだ。説明会では冒頭に、Box共同創設者兼CEOのアーロン・レヴィ氏が、コンテンツクラウドを含めたグローバルでの戦略について解説した。また、クラウド上でのコミュニケーショを加速させる新機能「Box Canvas(ボックス キャンバス)」も発表した。
成長要因はワークスタイル、デジタルファースト、セキュリティへの対応
レヴィ氏は、このところ“コンテンツ”を取り巻く環境が激変していると指摘。そうしたなかでも、Boxが成長できているのは、企業に起きている3つの大きなトレンドにBoxが対応しているためだと述べた。その3つのトレンドとは、「ワークスタイルの変化」「デジタルファースト(Digital-first)への移行」「サイバーセキュリティ対策(Secure)」だ。
国内外の企業では、従業員が場所を選ばずに働ける“AnyWhere”という単語が注目されている。レヴィ氏は、場所だけでなく使う端末や時間帯を問わずに働ける環境は、企業が労働に関して柔軟性を提供するということであり、コラボレーションを可能にすることでもあると語る。
また、デジタルファーストとは、ビジネスのワークフローや顧客とのやりとりが、デジタルベースになってきているということ。セキュリティ面でも、新しい基準を順守して対策を強化していく必要があり、Boxの仕事における未来の姿が3つのキーワードに表れているとした。
コンテンツクラウドが、コンテンツ管理の新時代を拓く
レヴィ氏は、“コンテンツ”の重要性についても言及した。現在では、全ての企業でコンテンツがビジネスの根幹にある。レヴィ氏が語った3つのトレンドは、このコンテンツに深く関わる。例えば、営業職であれば顧客へのプレゼン内容、人事であれば採用手続き、マーケティングならキャンペーンに関する企画などが、ビジネス上の重要なコンテンツと言い換えられる。
しかし、コンテンツの管理には多くのエンタープライズ企業が苦労をしている。現在、企業のコンテンツは、SharePoint、OneDrive、Salesforce、Teamsといった多様な場所やシステムで管理され、全体が最適化されていない。レヴィ氏は、コンテンツの管理が細分化されていたり、セキュリティがかかっていない状態にあると問題視する。
こうした状況に対するBoxの答えが、クラウドストレージに似た独自の「コンテンツクラウド」となる。コンテンツクラウドのプラットフォームでは、セキュリティを担保した上で全てのコンテンツを効率的に管理し、コンテンツを活用した協業、自動化、署名、分析などが可能になる。
Boxのコンテンツクラウドでは、各種のアプリケーションやシステムで生成したコンテンツが一元管理され、それぞれの連携も可能となる。レヴィ氏は、「プラットフォームを用いて、コンテンツ自体の活用の仕方を進化させていきたい」と話す。コンテンツクラウドを利用することで、仕事の権限委譲が容易になり、新しい働き方やシームレスなコラボレーションにつながる。
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