日本政府パビリオン「日本館」を見学! 佐藤オオキ氏と日建設計が循環社会の未来を具現化:大阪・関西万博(2/4 ページ)
日本政府が大阪・関西万博で出展するパビリオン「日本館」は、「日本型循環社会」をテーマに総合プロデュースを建築家の佐藤オオキ氏が担当し、基本設計と実施設計を日建設計が手掛け、円環状の構造体で“いのちのリレー”を表現した。外観の特徴は、円を描くように立ち並ぶ無数の「木の板」。主にCLTから成る板は、万博終了後に日本各地でリユースされる予定で、循環のコンセプトを象徴する存在だ。
ゴミをエネルギーと水に変える革新技術「プラントエリア」
「ゴミの再生工場」とも言えるバイオガスプラントは、日本館の循環型社会を象徴する展示。会場内で排出する生ゴミを微生物の力で分解し、水とバイオガスに変える仕組みを取り入れている。水は浄化処理を施し、日本館中央の水盤に活用。バイオガスは発電に使い、プラント内の電力として再利用する。
さらに、プラント内にはCO2分離装置を設置し、発生したCO2を効率的に分離する。このようにバイオガスプラント全体が「ゴミからエネルギーと水へ」という循環プロセスを視覚化しており、来場者に持続可能な社会の可能性を提示する。
次に案内されたのは、微生物の活動をテーマにした「発酵槽展示コーナー」。生ゴミが微生物によって分解され、新たなエネルギーが生み出される過程を視覚的/感覚的に体験できる。
展示空間には約700枚の発光パネルを配置し、微生物の動きを再現した光の粒子がダイナミックに舞う演出を施している。さらに37台のタンクが黄色い光に照らされ、微生物の働きを象徴するアイコンとして展示を引き立てる。来場者は、光とタンクが織りなす空間を通じて、微生物が持つエネルギーと生命の力強さを直感的に感じとれる。
日本館中央に位置する水盤は、直径19メートル、水深10センチの広大な展示空間。溜(た)まる水は、バイオガスプラントで浄化された水を使用する。微生物の働きで、ごみが全ての“いのちの源”となる水に生まれ変わることを具現化したコーナーだ。
水盤は昼間は一面に水が輝き、夜間には光と影が織りなす幻想的な雰囲気を作り出す。来場者に循環型社会の可能性を強く印象付ける展示となる計画だ。
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