ニュース
能登6市町で「水道DX」、デジタル技術を活用した漏水調査開始 水道施設本格復旧へ:スマートコンストラクション
能登半島地震で水道施設に甚大な被害を受けた奥能登地方の6市町で、本格復旧に向けて、衛星画像を活用した漏水調査が始まる。デジタル技術の活用により、水道施設の早期の本格復旧を目指す。
国土交通省は2025年1月24日、能登半島地震で水道施設に甚大な被害が生じた奥能登地方の6市町で、本格復旧に向け、衛星技術やデジタル技術を活用した漏水調査を実施すると発表した。
今回の取り組みは、特に水道施設の被害が大きかった石川県七尾市、輪島市、珠洲市、志賀町、穴水町、能登町の6市町で行う。漏水調査には、愛知県豊田市上下水道局による人工衛星とAIを活用した「水道DX」の技術を活用。人工衛星データから水の成分を分析し、調査を優先すべき水道管漏水エリアを特定したり、将来の水道管破損確率をAI解析で可視化する取り組みで、「Digi田(デジでん)甲子園2023」で内閣総理大臣賞を受賞している。
6県38事業者で最大13.6万戸が断水
能登半島地震では6県38事業者で最大13.6万戸が断水し、日本水道協会の枠組みを活用した水道事業体の相互支援により、漏水箇所の特定と応急復旧を進めてきた。石川県では2024年5月末時点で、輪島市と珠洲市の建物倒壊地域などを除いて、水道事業体が管理している水道施設の応急復旧を完了している。
一方で輪島市や珠洲市では、地域に水を供給できているものの、現在も水道管から漏水している可能性があるという。本格復旧を進めるためには漏水箇所を把握する必要があるが、特定には広範囲にわたって調査を行う必要があり、時間を要することが見込まれている。デジタル技術の活用により漏水調査を効率的することで、水道の早期復旧を目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- スマートコンストラクション:能登半島地震の災害廃棄物処理にICT技術活用、種類と量を推定 奥村組
奥村組は石川県珠洲市と輪島市の災害廃棄物仮置場で、ICT技術を活用した災害廃棄物の分類/体積の算出に関する実証実験を行い、有効性を確認した。 - “土木×AI”で起きる建設現場のパラダイムシフト(30):阪神・淡路大震災から30年に考える AIを活用した災害復旧のポテンシャル【土木×AI第30回】
2025年で阪神・淡路大震災から30年を迎えます。2024年の元日に発生した能登半島地震の復旧復興もいまだ進まない中、過去の自然災害の教訓から、さまざまな角度で被害拡大の防止策や迅速な復旧策が求められています。そこで今回は、AIを応用した災害対応の最新研究を参照して、その仕組みと有用性について解説します。 - 木造/木質化:世界初の“木造”人工衛星と阪神・淡路大震災級に耐える木造建築が「ウッドデザイン賞2024」奨励賞
住友林業が手掛けた木造人工衛星「LignoSat」と、阪神・淡路大震災級の地震波にも耐える高い耐震性を証明した木造10階建て実寸大実験が「ウッドデザイン賞2024」奨励賞(審査委員長賞)を受賞した。 - 安全衛生:「南海トラフ巨大地震」に屋外現場でも備えを 緊急地震速報パトランプ発売
政府の地震調査委員会は2015年1月15日、南海トラフ巨大地震の発生確率を今後30年以内で80%に引き上げた。2025年は阪神・淡路大震災から30年の節目を迎えることもあり、巨大地震への備えの需要は高まっている。そうした中、建設現場向けのDXソリューションを展開するGRIFFYは巨大地震発生時に屋外でも安全を確保する機器として、緊急地震速報を受信すると回転灯と音声で知らせるパトランプ「パトロイド・震」を発売した。 - i-Construction 2.0:i-Con2.0に対応する建機の“超”遠隔操縦 ソリトンシステムズが提案
国交省は2024年にi-Constructionをアップデートし、「施工」「データ連携」「施工管理」の3つのオートメーション化を軸とした「i-Construction 2.0」を発表した。このうち施工のオートメーション化で、独立系ITベンダーのソリトンシステムズは従来の遠隔施工をさらに進化させた建機の“超”遠隔操縦を提案する。 - アップサイクル:能登半島地震で被災した家屋の古材をアップサイクル、サトーが自動認識技術を試験提供
サトーは、能登半島地震の復興支援の一貫として、解体家屋から回収した古材を自動認識技術で管理する仕組みの試験提供を開始する。