日大院「建築学プロジェクト」の授業カリキュラムに三菱地所設計が協力:人材育成
日本大学大学院 理工学研究科 建築学専攻が2024年度から開講している演習科目「建築学プロジェクト」で、三菱地所設計の継承設計室などの設計者らが授業カリキュラム構築や運営、実施に協力している。
三菱地所設計と日本大学 理工学部は2024年12月16日、日本大学大学院 理工学研究科 建築学専攻が2024年度から開講している演習科目「建築学プロジェクト」で、三菱地所設計の継承設計室をはじめとした複数部署の設計者らが授業カリキュラム構築や運営、実施に協力していると発表した。
産学連携で近現代建築の評価と活用を目指す
建築学プロジェクトは、学生自らが実践や研究、調査などに関連した課題を設定する。目的や設計、調査、実験方法などを企画して実施し、成果を考察するPBL(Project Based Learning)の演習科目となっている。実務的な設計手法と学術的な分析を組み合わせるべく、数の近代建築の改修を手掛ける三菱地所設計 継承設計室の設計者が参画している。
山中新太郎氏と田所辰之助氏の両教授の「山中・田所ユニット」による科目内の授業「継承と対話」では三菱地所設計の設計者が指導をサポートし、既存建築物の記録評価書の作成、保存、活用計画の立案、改修設計の評価検討などを行う。調査や提案の対象に、高度経済成長期を代表する建築物として日本大学 理工学部 建築学科キャンパス近くに位置する1966年完工の「パレスサイドビルディング」を取り上げる。
2024年度の後期授業(2024年9月〜25年3月)を通し、学生は地見学・調査のもとで建築物の精緻な読解を行い、歴史的に貴重な近代建築の選定や登録を行う国際的学術団体「DOCOMOMO Japan」の建築評価を参考に、独自の評価書を作成。その上でコンセプトテキスト、ダイヤグラムや各種図面から成る建築物の改修、保存、活用での基本計画の提案とそのブラッシュアップを行い、分析から詳細な設計提案に至るまでをまとめた成果を互いに発表する。
日本大学 理工学部と三菱地所設計は、建築設計の実務分野でも、新築のみならず改修の設計業務が増えつつある昨今、大学教育の場で「建築物の価値を分析/判断すること」「改修とその取り組み方について考えること」を主題に扱い、将来の都市や建築に携わる若者の意識醸成を図っていく。
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