ドローンでJアラートの津波避難をサーファーに通知 五輪会場の千葉県一宮町でドローンシステム導入:ドローン
東京五輪のサーフィン会場となった千葉県一宮町で、ブルーイノベーションの津波避難広報ドローンシステムが採用され、2025年度から運用を開始する。Jアラートと連動し、地震発生時に自律飛行するドローンの自動音声でサーファーや地域住民に迅速な避難を促す。
ブルーイノベーションは、千葉県一宮町で自動離着陸や充電が可能なドローン基地システム「BEPポート|ドローン自動巡回システム」を活用した津波避難広報ドローンシステムの導入が決定したと2024年11月15日に公表した。津波避難広報システムは2025年度から運用を開始し、一宮町の防災力を大幅に強化。津波リスクが高い他地域への導入を拡大し、全国的な防災力向上への貢献を目指す。
Jアラートと連動し、自動飛行でサーファーに避難誘導を実現
津波避難広報ドローンシステムはJアラート(全国瞬時警報システム)と連動し、津波注意報以上が発令された際に、一宮町役場や東浪見小学校の屋上に設置されたドローンポートからスピーカーやカメラを搭載したドローンが自動発進する。指定された海岸線約7.5キロを飛行し、上空から自動音声でサーファーや海水浴客、周辺住民に対して避難指示を伝える。
一宮町では大規模地震に備え、津波の防災対策を整備しているが、現状の防災無線だけでは、海岸線延長約7.5キロの沿岸地域に充分な避難指示や誘導を行うことが難しい状況にある。一宮町は全国有数のサーフィンスポットと知られ、東京2020オリンピックの正式競技会場にも選ばれ、地震時に海上にいるサーファーへ迅速な情報伝達手段が求められていた。
こうした課題を解決すべく、一宮町はブルーイノベーションがサポートした宮城県仙台市の津波避難広報ドローン事業に着目し、今回の採用を決めた。仙台市のシステムは、JアラートとプライベートLTEネットワーク、全自動ドローン運航システムを組み合わせたもので、日立国際電気、ノキアソリューションズ&ネットワークス、ブルーイノベーション、アンデックスとの共同企業体(JV)が構築し、2022年10月に本格運用を始めている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Japan Drone 2024:日米8200kmを遠隔操作 Skydio新型ドローンで次世代インフラ点検を提案、NTT Com
NTTコミュニケーションズはJapan Drone 2024で、ドローンを活用したインフラメンテナンスの新たな課題解決方法を示唆した。日本と米国約8200キロをつなぐセルラードローン「Skydio X10」のデモは、上空LTEによる遠隔操作と自律飛行ドローンの組み合わせだ。自律飛行ドローンとドローンポート、Wi-Fi機器を組み合わせた自動巡回は、これまで難しかったアナログ計器の点検を省人化する。 - Hitachi Social Innovation Forum 2024 JAPAN:デジタルツインの“地中可視化”で日立ら4社が連携 道路メンテナンスの最前線を紹介
インフラの老朽化や激甚化する災害に対応するため、上下水道管路の耐震化や道路の無電柱化が全国で進められている。しかし、地下埋設物のインフラ工事は地下既設管などの把握が不可欠で手間や時間がかかり、インフラ事業者は慢性的な人手不足のために工事進捗で支障を抱えている。こうした課題解決に向け、日立製作所とNTTインフラネット、アイレック技建、応用地質の4社が手を組み、新技術を用いた地中可視化サービスの提供に取り組んでいる。 - ドローン:地震後のダム臨時点検にドローン活用、2025年度以降に業務適用へ 東電リニューアブルパワー
東京電力リニューアブルパワーは、山梨県大月市の葛野川ダムで、地震発生後の臨時点検を想定したドローンの遠隔操作による自律飛行の実証に成功した。 - Japan Drone 2024:異業種からの技術転用がドローン市場に新風を起こす、車載技術で勝負する東海理化
自動車部品メーカーの東海理化は、これまで培われた技術を武器に、今後成長が見込まれるドローン市場に参入した。マグネシウム材による機体の軽量化やUWBを活用した高精度着陸システム、カスタムICの内製化など、車載部品で培った技術力を生かした独自のソリューションを提案している。 - “土木×AI”で起きる建設現場のパラダイムシフト(28):最近聞くGNSS/RTK-GNSSってなに?【最新論文で学ぶ土木×ICTのBack To The Basic】
建設DXの潮流によって、建設現場をヴァーチャル空間にも再現する“デジタルツイン”の活用が進んでいます。リアル空間をドローンやレーザースキャナーなどで3D化するときに欠かせないのが、位置情報を正確に取得する技術です。そこで今回は、Google マップやカーナビ、スマートフォンなど一般社会にも普及したGNSSと、センチ単位に精度を上げたRTK-GNSSといった「測位技術」を改めて解説します。 - スマートメンテナンス:無償利用の人工衛星画像とAIで、NECが札幌市の水管橋を点検 ドローンよりも低コスト
NECは、無償利用可能な人工衛星画像やAIを用い、水管橋の異常点検に関する実証実験を実施した。ドローン点検で生じる撮影コストを掛けずに、多頻度での計測が可能となる。