従業員の「期待度」を知り、自社にとっての「最適解」を探る:エンゲージメント向上のポイント(1):「従業員エンゲージメント」を高め、建設2024年問題を乗り越える(3)(1/3 ページ)
本連載では、リンクアンドモチベーション 組織人事コンサルタントの山本健太氏が、建設2024年問題の解決策として、会社と従業員の間をつなぐ「エンゲージメント」とその向上策について解説していく。今回は、具体的な改善活動を進めていくためのポイントについて「診断」と「変革」の2つのステップで紹介する。
建設業界では労働力不足が深刻化しています。国土交通省と厚生労働省は2025年度予算の概算要求で、建設業の人材確保/育成のための支援策を発表。将来的な人材不足の解消を目指し、若者や女性の建設業への入職や定着などに重点を置いた対策をまとめました。
こうしたなか、各社も人材が定着する組織づくりのため、さまざまな手段で従業員エンゲージメントの向上を図っています。しかし、多くの企業ではさほど成果を実感できていないようです。そこで、今回から3回にわたって、エンゲージメント向上を図るうえで気を付けたい「誤解」と、押さえておくべきポイントについて解説していきます。
組織の「診断」をするだけで、「変革」ができていない企業が多い
これまでの連載でエンゲージメントとは会社と従業員の相互理解と相思相愛の度合いを表すものです。当社の調査では、エンゲージメント向上が労働生産性や営業利益率の向上、退職率の低下につながることが明らかになっています。
エンゲージメントの重要性は、建設業に限らずさまざまな業界で認識され、従業員の意識や組織の状態を測定する社内調査「エンゲージメントサーベイ」を導入する企業も増加しています。しかし、サーベイを実施しても、調査結果を見るだけにとどまり、具体的な改善活動に着手できていない企業が多いのが実情です。
当社の調査でも、計画的に従業員エンゲージメント向上に取り組んでいる企業は全体の2割に満たないことが明らかになっています。
せっかくサーベイを導入しても、改善活動が進まなければ、現場からは「またサーベイか」「結局経営層は何も変えてくれない」と不満が生まれてしまいます。では、具体的にはどのように改善活動を進めていけば良いのでしょうか。
ポイントは、「診断」と「変革」という2つのステップにあります。
ダイエットをするために体重計が必要なように、何かを改善するためには現状を知るためのモノサシが必要です。組織づくりにおいても、ファーストステップとして組織状態を正しく把握するために、エンゲージメントサーベイなどのツールを用いた診断から取り組む必要があります。診断結果をもとに課題に優先順位を付け、組織の変革につなげていきます。
しかし診断と変革の2ステップには陥りやすい「誤解」があるのです。その誤解と、対応のポイントを紹介します。
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