10年間で85%増加した“女性建設技術者” その理由は新卒採用【独自調査】:建設業の人材動向レポート(56)(2/2 ページ)
本連載では、総合人材サービス会社で建設業向けの人材サービスを展開するヒューマンリソシアが、独自に調査した建設業における人材動向を定期レポートとしてお届けする。建設業従事者の人材動向に関する実態を解明し、建設業各社の採用・定着に向けた戦略を考えるうえで少しでもお役に立てれば幸いである。今回は、建設業界で2010年に比べ2020年には倍近く増加した女性の技術者ついて、その理由と実態を調査した。
若手の女性建設技術者が長く活躍できる労働環境の整備が喫緊の課題
一方で、女性建設技術者が働きやすい労働環境の整備は、いまだ不十分だと危惧される。
女性の活躍度を測る指標の一つ、男女間賃金格差(男性の給与に対する女性の給与の割合)では、2023年の建設技術者の男女間賃金格差は、20〜24歳の年齢階級では97.9%と格差は小さい。しかし、結婚、出産、育児の時期にあたる30〜34歳は89.0%で、年齢を重ねるごとに格差は拡大し、男性の給与が最も高くなる55歳〜59歳は、71.4%となった(図表4)。
また、厚生労働省の2023年の「雇用等基本調査」で、育児のための所定労働時間の短縮措置などの制度がある事業所の割合は、建設業では53.1%であり、全産業平均の67.2%を大きく下回った。全産業の中で宿泊業、飲食サービス業(51.2%)に次いで2番目に低い割合となる(図表5)。
新卒で女性を積極的に採用するとともに、女性が出産や育児などのライフスタイルの変化に合わせて長く活躍するためには、短時間勤務やフレックスタイム、テレワーク制度などによる柔軟な働き方を実現することが重要だと考えられる。
【図表4 建設技術者の年齢階級別の男女間賃金格差(2023年)】※男女間賃金格差=女性の月間所定内給与÷男性の月間所定内給与として算出 出典:厚生労働省「賃金構造基本調査」よりヒューマンリソシアが作成
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