建設業の転職動向「転職による全入職者は減少も、20代は大幅増」【独自調査】:建設業の人材動向レポート(51)(1/2 ページ)
本連載では、総合人材サービス会社で建設業向けの人材サービスを展開するヒューマンリソシアが、独自に調査した建設業における人材動向を定期レポートとしてお届けする。建設業従事者の人材動向に関する実態を解明し、建設業各社の採用・定着に向けた戦略を考えるうえで少しでもお役に立てれば幸いである。今回は、厚生労働省「雇用動向調査」をもとに、建設業の転職市場を調査した。
今回は、厚生労働省の「雇用動向調査」から、建設業における転職市場の動向を調査した。建設各社では、特に30代の経験者の中途採用に苦戦していることが伺える一方で、20代の転職による入職者は大幅増、また転職による給与アップの割合も高く、20代若手人材を活発化していると推察される結果となった。
※ 転職による入職者:短時間労働者を除く一般労働者における転職入職者数。転職により建設業の職業に就いた人数で、新卒や未就業者は含まず、入職前の1年間に就業経験のある者
■本レポートの要旨
・建設業への転職による入職者数は2年連続で減少し、人材流動性も低下
・20代の転職入職者数は大幅に増加し、転職に伴い給与が増加した割合も高い結果
・建設業各社は、若手人材を積極採用している一方で、30代の経験層の採用に苦戦
■転職市場が活発化する中、建設業への転職者は2年連続で減少
厚生労働省の「雇用動向調査」から転職市場の動向をみると、全産業の合計での2021年と2022年で転職による入職者数は増加しており、コロナ禍の影響で一時落ち込んだものの、転職市場は全体的に活発化していることがうかがえる。
建設業では、19年の13万1700人から20年には16万5900人に増加しているが、21年は14万1200人、22年は12万7200人と、直近2年間は減少となった。また、転職入職者率(一般労働者数に対し、転職入職者数が占める割合)も、全産業計では20年5.6%、21年5.9%、22年6.5%と上昇しているが、建設業では6.2%、5.2%、5.0%と低下傾向にある(図表1、図表2)。
そのため、建設業では、転職で新たに建設業会社に就業する人が減少しており、かつ人材の流動性も低下してきているといえる。
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