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排気口の位置を変えるだけで3度の温度差 5分で使える国産の熱流体解析シミュレーションメンテナンス・レジリエンスTOKYO2024(1/3 ページ)

あらゆる建築物は、定期的なメンテナンスとともに照明や空調の設備改修が必要となる。空調や換気に関しては、アドバンスドナレッジ研究所が開発した純国産の熱流体シミュレーションソフトウェア「FlowDesigner」を使うと、空気の流れを視覚化できる。そのため、省エネや環境改善、コスト削減など、設備改修の課題改善につながる。

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 アドバンスドナレッジ研究所の黒岩真也氏は、「メンテナンス・レジリエンスTOKYO2024」(会期:2024年7月24〜26日、東京ビッグサイト)の出展者セミナーで「後戻りできない空調・換気設備改修!シミュレーションで維持費を抑えて効果最大化!!」のテーマで講演した。

 あらゆる建築物には、定期的なメンテナンスとともに照明や空調といった設備を新しく“設備改修”が必要となる。今回、黒岩真也氏が解説したのは、設備改修のうち空調や換気といった分野に関するものだ。

 昨今は、気候変動のためか夏の暑さが厳しくなっている。対応するため、空調機器や断熱材、遮熱塗料に注目が集まっている。設備改修のタイミングで、より性能の高いものを選ぼうとするのがトレンドとなっている。

 しかし、スペックの高い空調設備や断熱素材をやみ雲に導入しても、望ましい室内環境が実現できるとは限らない。空調機が同じでも空気の流入口/排気口の位置や数を変更するだけで、排気の効率や室内の温度などが大きく変えられる。そのことはシミュレーションをして初めて分かることだ。

 黒岩氏は、シミュレーションを手軽に行うソフトウェア「FlowDesigner(フローデザイナー)」について、対応する分野と操作方法を説明した※p3に動画アリ。

排気口の位置を変更するだけで、同じ空調機で約3度の温度差が

アドバンスドナレッジ研究所 代表取締役 黒岩真也氏
アドバンスドナレッジ研究所 代表取締役 黒岩真也氏 写真は全て筆者撮影

 今回の講演タイトルには、「後戻りできない空調・換気設備改修!」のフレーズが付されている。空調や換気に関する設備改修が大掛かりな工事で、間違った内容で工事を行うと、工事後に得られる快適な空調環境や運用コストの削減が失われる危険性があることを示している。

 黒岩氏は、工事内容によってどのぐらいの違いがあるかを工場や飲食店、クリーンルームの3つのケースで紹介した。最初に、工場の排気口位置の違いがどのような省エネ効果をもたらすかを説明した。

 下図は広い空間での空調の例だ。空間の床や中央に発熱源があり、空調(空気の流入)は天井の2カ所で行われている。空間内で壁の高い位置に排気口を設けるA案と発熱源の上あたりの天井に排気口を設けるB案で、空調の差がどのくらいあるかをシミュレーションした。ちなみに空調の設計温度は26度、空調機器は同じ負荷(風量、温度)で稼働させる。

排気口をどこに配置するかで、空間の温度はかなり違う

 シミュレーション結果は、想像を超えるものとなった。A案とB案で違うのは、排気口の位置だけ。にもかかわらず、両者には部屋全体の平均温度で2.9度の差が出た。流入する冷気の量や温度は同じなので、純粋に排気口の位置が違うだけで、これだけの温度差が出たのは注目に値する。

天井の中央に排気口を設けると、壁の排気に比べ部屋全体の平均温度が約3度低くできる
天井の中央に排気口を設けると、壁の排気に比べ部屋全体の平均温度が約3度低くできる

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