建設業で広がるシニア人材の活用「65歳以上は16.8%、全産業中4番目」【独自調査】:建設業の人材動向レポート(55)(2/2 ページ)
本連載では、総合人材サービス会社で建設業向けの人材サービスを展開するヒューマンリソシアが、独自に調査した建設業における人材動向を定期レポートとしてお届けする。建設業従事者の人材動向に関する実態を解明し、建設業各社の採用・定着に向けた戦略を考えるうえで少しでもお役に立てれば幸いである。今回は、経験豊富なシニア人材の活用について建設業界の動向を探った。
■60歳以上の離職率では、主要産業分野の中で建設業が最も低い
続いて、高齢者の離職率※について主要産業別に比較する。厚生労働省の「雇用動向調査」で60歳から64歳までの就業者の離職率は、建設業は11.6%で全産業計の17.5%を下回り、主要産業分野の中で最も低い(図表4)。
65歳以上も建設業の離職率は17.2%で、全産業計の22.3%を下回り、主要産業分野の中で最も低い。建設業では、60歳以降も定年などで離職せずに働き続けるシニア層が多いことが分かる。
※離職率=各年齢階級における離職者数÷各年齢階級における常用雇用者数
■60歳以上の給与、建設業では10年間で大きく増加
最後に、高齢者の給与面を主要産業別で調べた。厚生労働省の「賃金構造基本調査」で年齢階級別に一般労働者の所定内給与の増加率をみると、
建設業では60〜64歳における2023年の所定内給与は対2013年比で28.0%増だった(全産業平均17.4%増)。65〜69歳でも2013年比で24.9%増(同9.9%増)と、建設業では全産業平均と比較し、60歳以上の労働者の給与が大幅に増加している(図表5)。
人材不足が続く建設業では、経験豊富なシニア層の継続雇用を目的に、60歳以降の給与水準を高く設定していることが推察される。
著者Profile
ヒューマンリソシア
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