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優秀FM賞を受賞したNTT西の新本社プロジェクト コロナ禍を経て見い出した新FM戦略ファシリティマネジメント フォーラム2024(2/3 ページ)

NTT西日本は、2018年からコロナ禍を経て4年がかりとなった本社移転プロジェクトで、通信設備の安全、社員の働きやすい環境、アセットの有効活用という3つの観点から、新たなFM戦略を立案して実践している。その取り組みが高く評価され、JFMA賞で「優秀FM賞」を受賞した。

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不動産価値の向上と、新しい社会要求の対応へ

 プロジェクトでは、今の時代に求められる通信事業会社としての使命や社会貢献を満たす、新たなFMにもチャレンジしている。注力ポイントは、企業不動産を活用したCRE戦略と事業共創、働き方改革、SDGsへの貢献で、具体的には下記の5つ。

  • NTT西日本グループの本社戦略機能の集約と外部キャッシュアウトの抑制
  • 大阪城周辺エリアの歴史/観光拠点としての発展に寄与
  • オープンイノベーション施設の併設によるエコシステムの形成
  • センターオフィスによる働き方改革/社員のWell-being向上
  • データドリブンなFMの実践によるSDGsへの貢献

 このうち、拠点集約ではグループの戦略機能を集約することで、流動的な市場に柔軟な対応が可能になる。また、本社機能の集中で組織間の連携も強化され、シナジー効果の創出も期待される。他にもキャッシュアウト抑制で、これまで外部ビルの借り入れで支払っていた年間約2.6億円が削減された。

 さらにコスト面では、4棟(QUINT BRIDGE/PRISM/i-CAMPUS A棟/i-CAMPUS B棟)を総務人事部が一元管理することで、建物の維持、清掃、警備、ごみ処理などの管理ルールが統一化され、業務品質の向上と効率化によるコスト削減につながった。

戦略拠点の集約により、柔軟性、シナジー効果、キャッシュアウト抑制などのメリットが生まれた
戦略拠点の集約により、柔軟性、シナジー効果、キャッシュアウト抑制などのメリットが生まれた 出典:NTT西日本講演資料

 オープンイノベーション施設のQUINTBRIDGEは、「次々と共創プロジェクトを世に送り出し、社会課題の解決と未来社会の創造を成し遂げ、Well-beingが実感できる社会の実現」を掲げている。施設内は3つのフロアで構成し、1階が新たな出会い、2階がアイデア実現、3階は事業拡大をテーマとし、賛同する企業や学生、自治体などが産官学で交流する場となっている。

柔軟な働き方を後押しするA棟のオフィスレイアウト

 NTT西日本では、社員アンケートや若手のワークショップメンバーなどとのディスカッションを通じて、「組織で働く」「集中して働く」「アイデアを出し合う」など10個の働くシーンを策定。新本社のオフィスでは、10個の働くシーンにマッチする什器の選定や空間の構築を行った。

 NTT WEST i-CAMPUS A棟では、オフィス全体のレイアウトは“凹”型で、中央には内階段を配置。フロアは間仕切りのない空間で、中央部はさまざまなシーンで使えるクリエイティブスペース、その周辺を個人ワークができるチームスペースに分けている。フロア全体にはWi-Fiを配備し、目的に応じて場所を変えながら業務できる。

NTT WEST i-CAMPUS A棟のフロアレイアウト。配置は凹の字型にデザインされ、フロアの中央には内階段が設けられている。階段による移動を誘発するように、テーマとするスペースを上下階で交互になるように配置
NTT WEST i-CAMPUS A棟のフロアレイアウト。配置はコの字型にデザインされ、フロアの中央には内階段が設けられている。階段による移動を誘発するように、テーマとするスペースを上下階で交互になるように配置 出典:NTT西日本講演資料

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